ネッシーは哺乳類? チュパカブラは異星人? ムー編集部が希少価値を認めた、未確認動物たち

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公開日:2017/10/5

『決定版未確認動物UMA生態図鑑』(並木伸一郎/学研プラス)

 昭和の頃、「ネッシー」や「雪男」といった俗に「UMA(ユーマ)」と呼ばれる未確認動物がしばしばマスコミをにぎわせていた。しかし、時代を経るにつれその手の話題が少なくなり、1995年ごろに南米プエルトリコを震撼させた、家畜を襲う吸血動物「チュパカブラ」以降、目立った存在が居なくなったように思える。だが、その不思議な魅力に惹かれる人は今でも少なくなく、小生もその一人。そんな折に見つけたのが、この『決定版未確認動物UMA生態図鑑』(並木伸一郎/学研プラス)である。

 本書では昭和に定番だったものをはじめ、世界各地で目撃されているUMAたちを一挙紹介。写真や想像図も豊富で昭和のUMA報道にワクワクした経験のある世代なら、つい惹かれてしまう内容。ちなみにUMAとは「謎の未確認動物」を意味する「Unidentified Mysterious Animal」の略語である。しかし、これは和製英語であり、「UFO(Unidentified Flying Object)」を意識して付けられた造語なのだ。

 さて、UMAといえばやはりネッシーの存在が欠かせない。本書でも筆頭に掲げられるほどで、誰しも名前は聞いたことがあるだろう。スコットランドのネス湖に生息するとされ、その姿は中生代ジュラ紀の海に生息していた大型水棲爬虫類「プレシオサウルス」にも似ている。しかし、これまで何度も探索が試みられたが正体は掴めず、その存在を疑問視する声も多数あり、小生には今更感がぬぐえないのが正直なところだった。だが、本書では意外な面からその正体に迫ろうとしていたのだ。

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 読者諸氏は「生態的地位」という言葉を聞いたことがあるだろうか。動物生態学の基本的な概念で「ニッチェ」もしくは「ニッチ」とも呼ばれる。それは「生物の種が、生息する環境において果たしている生態的な役割、あるいは地位」を示す。本書によると、恐竜や大型爬虫類が絶滅した後のニッチェを埋めるべく、哺乳類が台頭してきたのだが、ネッシーも「プレシオサウルスのニッチェを占める【未知の哺乳類】の可能性が高くなる」というのだ。今まで気づかなかった視点だけに、実に興味深い。

 ただ、湖で海の生態的地位を代わりに占めるというのも奇妙な話。そこで思い出したのだが、以前からある噂話でネス湖と海が地下でつながっているという件だ。もし、本当にネッシーがプレシオサウルスのニッチェを埋めるのなら、やはり地下で海と行き来していると考えられる。

 ネッシーが昭和の超メジャーUMAなら、平成の雄は前述したチュパカブラだろう。日本ではバブル経済が崩壊し、景気の停滞が続き活気を失う中、突如として現れた異形の怪物は、メディアをにぎわせるのに恰好の材料となった。体長は90cm~1.2mで体色はダークグレーかダークグリーン。楕円形の大きな頭にギョロリとした赤い目、尖った舌を持ち、体中に体毛が密集し、背中にトゲもある。

 だが、小生は改めてチュパカブラの想像図を見て、気になったことがある。小柄で大きな頭に大きな目は、近年の異星人目撃談で語られイメージされる、いわゆる「グレイタイプ」の異星人にとても似ていると思うのだ。その姿は全身灰色の小柄な人型で大きな頭を持ち、目も大きくて黒い。体色やトゲの有無こそ違うものの、両者とも基本的な骨格にかなりの類似点を見出せる。

 思い返せば、ネッシーが話題になって以降、各地で同じような目撃談があった。日本でも北海道の屈斜路湖でクッシー、鹿児島の池田湖にはイッシーの存在が噂されるが、その想像図はどれもネッシーのよう。他にも、雪男に似た姿の獣人は世界中で噂されている。その個体を捕獲できない以上、姿は想像するしかなく、どれも似通ってしまうのだろう。見たことのない生物を人は想像できないのだ。しかし、だからこそ一度は実物のUMAを目撃したいものである。

文=犬山しんのすけ