仕事で「成功し続ける人」と「失敗を繰り返す人」の違いとは?

ビジネス

公開日:2017/10/16

『仕事が思い通りにできる心理術』(櫻井勝彦/明日香出版社)

 仕事が好きな人も、そうでない人も、仕事で成功したいという気持ちは大なり小なり抱えている。しかしそうそう簡単に上手くいかないのが現実で、みんな「どうすればプロジェクトが今より円滑に動くのか」「もっと自分に負担の少ない効率的な方法はないのか?」と模索しながら働いている。その一助になりそうな書籍が『仕事が思い通りにできる心理術』(櫻井勝彦/明日香出版社)だ。心理術を駆使すればより仕事が思い通りにできるようになると豪語する本書、その心理術の一部をご紹介しよう。

■緊張したら○○と口に出せばいい

 大事な会議の前や絶対に成功させたい仕事に直面すると、どうしても緊張していつものパフォーマンスが出せなくなってしまう。そんなときに知っておきたい心理術として「自己暗示」がある。リラックスした状態を作り、「自分はできる、できる」と心の中で唱えるこの方法、どうしても「胡散臭いな~」「意味ないだろ~」と思ってしまうが、それは正しい「自己暗示」を実践できていないからだそうだ。

 私たちの行動は、理屈(言葉)以上に、感情(気持ち)に支配されている。言葉で「絶対に成功する!」と唱え続けても、同時に感情の部分で「大丈夫かな?」「無理だな……」と思ってしまっていては、感情の方に引っ張られて効果が薄くなる。より自己暗示の効果を高めるには、「自分はできる、できる」と唱え続けながら、成功したときの感情や気分を同時に感じていくことがポイントだそうだ。「俺はプレゼンで成功する」と唱えながら、完璧にプレゼンしているイメージをしつつ、達成感に浸っている気持ちになれば、いつも以上にパフォーマンスを発揮できるようになる。

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 さらに本書によると、緊張しているときは自分が緊張していることを受け止め、「緊張している」「手が震えている」と口に出してみるといいそうだ。一般的には「緊張するな」と自分に言い聞かせるものだが、それは自分の心に「緊張してはいけない」と制限をかけることでもあるので、余計に心にストレスが加わって悪化してしまう。手足が震えてしまったときは、むしろ自分から手足を震えさせることで緊張のストレスやエネルギーを発散させるといいという。

■成功を繰り返す人と失敗を繰り返す人の違い

 仕事に限らず、やることなすこと「成功する人」と「失敗する人」が存在する。本書で挙げられている例として、「あなたといるとイライラするの」と言われて彼女にフラれてしまったイケメンの話を紹介しよう。

 人生初めての恋人だったこともあって、彼女にフラれたイケメンはとても傷つき、毎日のように思い出しては辛い気持ちになっていた。それから月日は経ち、彼に新しい恋人ができた。しかし交際が続くにつれ、彼の脳裏にはあの日がよみがえる。「あなたといるとイライラするの」とまた言われたらどうしよう……。彼はそう言われないように、何か話さなくては、早く決めなくては、と焦り始めてしまう。焦れば焦るほど他のことが考えられなくなり、何を話せばいいか、どうすればいいか分からなくなってしまう。そして彼は再び「あなたといるとイライラするの」と言われてフラれてしまう。同じパターンを繰り返してしまったのだ。

 人は辛い出来事を経験すると、彼のようにそれを何度も繰り返しイメージしたり思い返したりしてしまう。実はこの「繰り返す」「思い出す」は、勉強の「復習」と同じ効果を生んでしまう。再び同じような場面に遭遇したとき、また同じように行動してしまう結果をもたらすのだ。いつも同じパターンで失敗してしまうのは、「繰り返し」によって作られた「脳の回路」が原因だった。

 このようにならないために、もし何かで失敗したときは、反省はしても必要以上に頭の中で繰り返し思い出さないことだ。脳に失敗の回路を作らせないのだ。その逆に上手くできたこと、成功したことは、必要以上に何度も思い返してみる。そうすると脳に成功のパターンをこびりつかせ、成功の回路を作ることができる。これが成功を繰り返す人と失敗を繰り返す人の違いだ。

 さらに言うと、私たちの思考は自分が持っている知識や情報、つまり記憶から作り上げられている。政治に対してネガティブな知識ばかり仕入れたら、政治に対してネガティブな意見しか言えなくなるし、ポジティブな情報を仕入れ続けたら、その反対の意見を言うようになるだろう。人生をポジティブ思考で送りたいならば、常にポジティブな情報や知識を仕入れることが大事だ。これは当然仕事でも同様であり、仕事に対してポジティブになりたいならば、仕事に成功した人が書いたビジネス本などを読み続ければいいそうだ。

 心理学や心理術と聞くと、「人をコントロールする方法」「人の心を見透かす方法」など、眉唾モノばかりが思い浮かぶ。しかし本来の心理学とは、人の心が動く仕組みを読み解き、それを社会に活かす学問のこと。対人スキルが必須となる仕事において学んでおいて損のない学問なのだ。仕事で成功したい人、少しでも失敗を減らしたい人は、その1つの方法として心理術を学ぶことをオススメしたい。

文=いのうえゆきひろ