かわいい絵柄に騙されるな! 世にもダークな「おとぎ話」のはじまり、はじまり……

マンガ

公開日:2017/10/30

『おとぎ話バトルロワイヤル』(稲空穂/KADOKAWA)

 9月下旬に最新2巻が発売されたのだが、謎が解けるばかりか、深まるばかり。気になる、気になる……! 早く続きを読みたくてしょうがない『おとぎ話バトルロワイヤル』(稲空穂/KADOKAWA)は、おとぎ話の世界に紛れ込んでしまい、「登場人物殺し」をすることになった女子高校生の、先の読めないサバイバルホラー漫画だ。

 高校1年生の国仲青葉(くになか・あおば)は、おとなしくコミュニケーション下手な女の子。学校でいじめに遭っているが、それを相談できるほど、家族との関係は良くなく、大好きな「おとぎ話」の世界に浸ることで現実逃避をしていた。そんな彼女のもとに、ある日「不思議の国のアリス しゅじんこう・アリス」と書かれた「けいやくしょ」が届く。

 それは、願い事を叶える代わりに、契約者を物語の世界へと強制的に引きずり込む、世にも怖しい「招待状」だった。

 「クラスのみんなと仲良くなりたい」。その願いが叶った青葉は、『不思議の国のアリス』の「アリス」として、物語の中へ。そこは荒廃した世界で、物語の登場人物たちはゾンビのようになっており、青葉に襲いかかる。困惑する青葉が出会ったのは『ロバを売りに行く親子』というイソップ物語と契約したイギリス人のノア。二人はわけの分からない世界を協力して進んでいく。

 徐々に明らかになる「バトルロワイヤルの仕組み」。まず、それぞれの契約者が持っている本に栞を挟めば、元の世界に戻れる。その他、自分たち以外にも、同じ「けいやくしょ」を交わした人間が多数いることや、自分たちを襲っていた登場人物のゾンビたちは、救いを求めており、殺されるのを願っているようだということも分かってくる。

 そしてどうやら、「物語の登場人物を殺し、荒廃した世界を少しずつ浄化していくこと」が「願い事を叶えてもらった対価らしい」と気づく。ノアは罪悪感を抱きながらも、自身のおとぎ話に出てくるキャラクターたちを殺すことに。そうすることで、すべては解決する。……と思われたのだが、青葉たちの望みは大きく裏切られる。

 この「けいやくしょ」とは一体何なのか。誰が、どういった目的で、「登場人物殺し」を契約者にやらせているのか。青葉たちは、どうしたらこの絶望的な事態から脱け出すことができるのか。謎ばかり。そろそろ一つくらい謎が解けてほしいと2巻を読んだのだが、解けるどころか深まった……! さらに「ノア君カッコいい♪」なんて思いながら読んでいた身にとって、2巻は色々つらかった……。

 おとぎ話の世界と現実を自在に行ったり来たりできるので、「いつでもバトルロワイヤルは放棄できるのでは……」と思われたのだが、2巻ではそうもいかない状況になり、青葉は追い詰められていく。解決方法も分からないまま、「身の危険」だけが迫る現状で、彼女がどのように動いていくのか。さらに、これから本格的な「おとぎ話の主人公たちのバトルロワイヤル」が始まるみたいなので、今後の彼女の成長と活躍を楽しみにしたい。

 かわいい絵柄なのにダークで絶望的なストーリー展開。この独特な世界観が私はかなり好きなので、3巻が待ち遠しい……!

文=雨野裾

この記事で紹介した書籍ほか

おとぎ話バトルロワイヤル2 (ジーンピクシブシリーズ)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784040694252

おとぎ話バトルロワイヤル 1 (ジーンピクシブシリーズ)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784040691008