推しが結婚……! 次は私たちの番!? 元・追っかけ女子4人のパワフルな婚活劇

マンガ

更新日:2017/11/20

『ガラスの靴は割れてもはける』(祥伝社)

 女性が「本気で結婚したい」と思う瞬間はいくつかある。友人や同僚から結婚報告を聞いたとき、子どもがほしいと思ったとき、一人でいるのに孤独を感じたとき……。

 しかし、身近に出会いがなく家と仕事場を往復する毎日を送っていると、「婚活」のための一歩を踏み出すのは中々勇気がいるのではないだろうか?

 そんな方にぜひ読んでいただきたいマンガがある。都陽子の『ガラスの靴は割れてもはける』(祥伝社)だ。

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 本書は人生を捧げた「推し」=「若手俳優」の突然の結婚報告に衝撃を受け、今度はわたしたちが動き出す時! と決断し、妙齢女子の4人が婚活を始めるマンガである――。

 物語に登場するのは、千佳子(34)、愛子(30)、舞(26)、小百合(28)のアラサー女性が4人。

 4人はこれまで、一般認知度はまだまだである巻貝くんに人生を捧げていた。夜行バスで遠征、炎天下待機、初主演にお花……と、自分たちも精一杯楽しみながら、時間もお金も使ってきた。しかし、巻貝くんはその間にキャリアを積み、愛を育んでいたのに、自分たちは何も変わっていないことに気づいた彼女たちは「伴侶という名の癒し」を手に入れるため、真剣に婚活を始めることを決意するのだ。

 4人の中で一番婚活に熱心に取り組んでいたのが34歳の千佳子である。彼女は「結婚はしない」と宣言していた元彼が入籍したことをきっかけに、1年以内に結婚することを決意。舞や小百合を誘い婚活パーティーに参戦し、若さに勝てず全敗した千佳子は、マッチングサイトの利用もはじめ、なんとそこで巻貝くん似のイケメンを発見するのである……! しかも、岩下と名乗るイケメンの職業は医者で、年齢は36歳という好条件の男性だった。

 千佳子は彼を詐欺かもしれないと疑いつつ、出会った初日にホテルに行ってしまう。みじめな気持ちになるものの、その後も連絡があり、週3でデートするという順調な関係を築いていた。しかしある日、岩下に関するとんでもない事実を聞いてしまい……!?

 千佳子の他にも、元・追っかけ女子たちは、全員がマッチングアプリに登録し、三者三様の婚活をする。婚活の成果報告会を、努力しないと結婚できない世を呪う意味を込めて「呪詛の集い」と名づけ(※後に「プリンセス会」に改名)、自分にとってこれは譲れないという条件を3つ決めて、それに当てはまる男子とはピンとこなくても会ってみるという「3ヶ条ルール」を定め、実践していく。まるで「物件サイト」のようだというマッチングサイトの仕組みや効果的な使い方についても触れられており、実践的なマンガでもある。

 4人の中には不倫経験で相当な痛手を負った者もいるし、結婚適齢期について懇々と話す上司や、マウンティングする同僚にうんざりして「専業主婦」を目指して婚活に励む者もいる。「恋愛を飛ばして結婚したい」「ぼんやりしてたら閉経しちゃいそう」とぼやきながらも、追っかけ時代、行けるかどうかわからない舞台のチケットをとりあえず申し込んでいたように、人生の選択肢を増やすことに躊躇なく邁進していく彼女たちの姿はとても輝いて見える。4人は追っかけをやめ、婚活をすることで何を学び、どんな成長を遂げるのだろうか。そして一体、どんな男性とめぐり合うのだろうか。パワフルな彼女たちに最大限の期待をしつつ、手に汗握りながら楽しみに続きを待ちたい。

文=さゆ