間取りから考える「モテ部屋」って?「異性とヤリたい」と願うなら、己だけでなく「部屋」も磨け!

マンガ

公開日:2017/11/22

『あの娘を落とす間取り』(松本救助/宝島社)

 ひとり暮らしを体験する時期は人によりさまざまだが、おそらく大半の者が抱くであろう野望がある。それは「異性を自分の部屋に呼ぶ」ことだ。無論、下心全開の話である。親と暮らしていればどうしても行動に制約がかかるが、ひとり暮らしでそれが除かれれば、そりゃあ「部屋で彼女(彼氏)とヤリたい放題」などと妄想するのも無理はない。しかし、である。異性を部屋に呼んだはいいが、なぜか盛り上がらず目的を遂げる前に帰られてしまった──そんな経験はないだろうか。原因には個人のコミュニケーション能力もあるのだろうが、問題はそれだけではない。あまり意識されないが、実はものすごく重要な点……それは「間取り」だったのだ! 『あの娘を落とす間取り』(松本救助/宝島社)は、さまざまな例題を用意して、異性を口説くのに間取りがいかに重要かを説いている。

 まず押さえておきたいのは「NG」な間取り。どんなに部屋を美しく飾っても、デカいNGポイントが存在していては意味がないからだ。本書でも真っ先に取り上げているが、間取りで一番注意しておくべきなのが「トイレの位置」である。

 例題ではワンルームの木造アパートに暮らす大学生が登場。気になるあの娘を部屋に呼んだはいいが、なぜか夜にもならないうちに帰ってしまう。なぜかといえば、それは居住部屋に「トイレの音」がダダ漏れだったからだ。ゆえに彼女はトイレに行けず、早々に帰宅してしまったというわけである。トイレは部屋に隣接しているため、もはやどうしようもないのかといえば、さにあらず。本書では解決策として、ワードローブを部屋とトイレの間に置くことで防音を図っている。遮蔽物があるとないとでは、音の響きかたに圧倒的な差が出るのだ。思い当たるフシがあるという人は、早急に対処すべきであろう。

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 さて、ネガな部分を潰したならば、次は積極的に「ヤレる部屋」を目指したいもの。次の例題は最初から「ヤリ部屋」として構築されている間取りを紹介しつつ、どのあたりが優れているかを解説している。登場するのは木造2階建ての2LDKに居住する社会人。あまり好感を抱かれていない同僚の女性が、急なドシャ降りに見舞われて部屋に訪れるという展開である。ここで触れられるのは「ゾーニング」という概念。これは「空間を用途別に配置する」ことで、簡単にいえば「ヤリ部屋」に余計な物を持ち込まないということだ。さらに例題では「目線の高さ」にも配慮。低い家具にカーペット、そして「すのこベッド」を用いることで、すぐさま横になれるようにしている。加えて「穴ぐら理論」が、ただでさえ凶悪な部屋をより完璧に。この理論は「生き物には、外敵に襲われないよう、なるべく巣穴の奥で睡眠や生殖をする習性がある」ことを利用するもの。「ヤリ部屋」を部屋の最奥に配置することで、そこが巣穴の奥であると本能に訴えかけるのだという。ここまで計算された間取りならば、本願成就も容易いはずだ。

 とはいえ「こんな部屋、普通のリーマンが住めるか!」というツッコミが入りそうである。まあ確かに東京都内で2LDKとなれば、家賃は軽く10万を超えてしまう。だが安心めされよ。本書には貧乏学生のおんぼろアパート四畳半部屋までフォローされている。ここで使われているテクニックはたったひとつ。それは「愛」である。相手のためを想って湯飲みや座布団を新しく揃える。そして誠心誠意のおもてなしだ。「あなたのことを想っています」という気持ちを部屋に込めれば、相手には必ず伝わるだろう。Jポップではないけれど、やっぱり一番大切なのは「愛なんだ」!

文=木谷誠