因数分解、確率論的思考…現在の営業をアップデートして「理想の営業」になるための方法とは

仕事術

2017/12/1

『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(冨田和成/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

「営業」という仕事にどんなイメージを持っているだろうか? 外回りが多く、夜には顧客との会食に参加し、とにかく忙しいという話を、実際に営業職に就いている知人から聞いたことがある。「営業部隊」という言葉からは、一定以上の人数でチームを成し、一丸となって売上に貢献する、体育会系のような印象を抱く。会社によって違いはあっても、地道に時間をかけて顧客との信頼関係を築き、数字に反映させていくというやり方は、今でも多くの企業で採用されているのではないだろうか。

『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(冨田和成/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))は、このような従来の営業はアップデートする必要があると指摘する。

 著者の冨田和成氏は、野村證券の営業マンとして優れた業績を残し、現在はフィンテックを拡大させるベンチャー企業の経営者として活躍。10年以上にわたり「営業」について考え、実践してきた。営業の仕事を始める際に、先輩に「大事なのは量だ。量をこなして情熱を持って仕事をしていれば結果はついてくる」と教わり、それに従ったが結果は出なかったという。それも、愕然とするほどに。

「顧客に必要とされ、日々成長が実感でき、しかもストレスフリーな職業」

 冨田氏が理想とする営業だ。この理想に到達するために、日本の営業には改善すべき点が多くあるそう。その方法が、本書で詳細に説明されており、すべて実践できれば理想の営業になれると述べる。

 営業をアップデートするために身につけるべき力は大きく分けて4つ。

(1)仮説思考力
(2)因数分解力
(3)確率論的思考法
(4)PDCAを回し続ける力

 (1)と(4)は何となく想像できる。だが、(2)と(3)は…数学? 営業とどんな関係があるのだろうか。

 まず(2)因数分解力は、「思考を整理し、課題の見落としを防ぐ」ためのスキル。「分解」が重要なポイントだ。例えば「営業」を因数分解すると、「マーケティングプロセス」と「セールスプロセス」に分けられる。この2つをさらに分解すると、実際の営業プロセスが可視化でき、自分なりの改善ポイントも見えてくる。作業には1分もかからないそうなので、試しに分解してみては?

 (3)の確率論的思考法について、著者は「営業は確率の世界である」と指摘。因数分解で可視化した営業プロセスを数字で把握することが大切だ。自身の会社でも「KPI管理シート」なるツールを導入しており、リスト数やリスト率、アプローチ数やアプローチ率などの数値が入力され、目標値と実数を比較して達成率の算出も行っている。それを眺めながら施策を考えるというわけだ。

 本書ではさらに、マーケティングプロセスとセールスプロセスの詳細や、営業として成長するための思考と行動などが、著者の体験談や具体例を挙げながら分かりやすく解説されている。付録として仮説思考に役立つツール(KPIシートなど)がダウンロードできるようになっており、本書で学んだことを、その場で実践できる内容となっている。今の営業を変えたいと思っている方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

 

文=松澤友子