Webマンガで成功したいなら、SNSを使いこなせ! 漫画家デビューの新しい方法

アニメ・マンガ

2018/2/8

『Webマンガの技術 ゼロから学ぶプロの技』(泡沫、佐木郁、世紀末、にいち、まき田、ヤマダ:著/KADOKAWA)

 出版科学研究所によれば、2017年上半期における紙の出版物の販売額は推定で7281億円、前年同期で比較すると5.5%減であるという。出版不況の厳しさを窺わせるが、一方で電子書籍の売り上げは推定1029億円で前年同期比21.5%と数字を伸ばしている。紙媒体を電子化したものはもちろん、Webコミックなど最初から電子媒体で掲載されたヒット作も数多い。漫画といえば、かつてはペンとインクを使って原稿用紙に描き、大手出版社に持ち込んだり新人賞へ応募したりするのがデビューの定番だった。しかし現在、デビューの手段はもっと身近になった。インターネットのソーシャルネットワークサービス、いわゆる「SNS」の利用である。このような状況を受けて、漫画の描きかたや発信方法も大きく変わってきた。『Webマンガの技術 ゼロから学ぶプロの技』(泡沫、佐木郁、世紀末、にいち、まき田、ヤマダ:著/KADOKAWA)は、SNSから人気となった漫画家たちの創作方法を紹介しつつ、漫画の新しい在りかたを分析している。

 本書では「Twitter(ツイッター)」や「pixiv(ピクシブ)」といったSNSで自身の漫画を発信し、単行本の刊行などメジャーデビューを果たした6人の作家に取材。その創作方法から発信までを詳しく解説している。創作方法といっても、単純な「絵の描きかた」ではない。「話の作りかた」や「効果的な絵の見せかた」といった部分が中心である。作家によってそれぞれ特色はあるが、実は共通している部分も意外と多い。それはSNSを利用することにより発生する共通点というべきであろう。

●読者の共感を得るような話にする

 これだけ聞けば「あたりまえの話」のように思われるかもしれないが、従来の紙媒体ベースの漫画とSNSベースの漫画が異なるのは「読者との近さ」である。従来を「お客」とするなら、SNSは「隣人」に近い。本書に登場する作家たちもこの点は強く意識しており、自身の体験をネタにするなど誰にでも起こりそうな話を発信している。それゆえジャンルは「恋愛もの」や「学園もの」のような日常系を扱ったものがほとんどだ。「それでは冒険ものなど描けないのか」とか考えそうだが、一概にそうはいえない。ツイッターなどのSNSはあくまで「きっかけ」だと捉えている作家も多い。そこで気に入ってくれた人が、自分のWebサイトで漫画を読んでくれることもあるという。多少でも名が知られてから「冒険もの」などにチャレンジすればよいのだ。読者が目を留める時間が短いSNSでは、いかに「気に入ってもらえるか」が勝負の分かれ目なのである。

●漫画を投稿する時間を意識する

 一番「SNSならではの考えかた」だと思わされたのがこれである。人にはそれぞれ生活時間があり、SNSを閲覧する時間帯も異なるだろう。ゆえに作家たちはそれぞれの考えで「人が一番見てくれそうな時間」に投稿するよう心がけているという。例えばフォロワーに学生が多い作家であれば、下校時間あたりに投稿するといった具合だ。雑誌なら「発売日」といったところだろうが、作家の意志で自由に決められるところがSNSならではと思わせる。

 こうして考えると、「漫画」や「漫画家」といった存在が、いかに身近になってきたかがよく分かる。かつては「ペンを片手に単身上京して――」などというストーリーが語られたが、今や日本全国、自宅から全世界に発信可能な時代が到来したのだ。少しでも漫画を描くことに興味があるなら、まずは投稿してみてはどうだろうか。完成度など気にせずに、自分が感じたことをそのまま絵にすれば、きっと世界の誰かが共感を持ってくれることだろう。

文=木谷誠