高須克弥院長と西原理恵子。合計124歳熱愛カップルの実情

アニメ・マンガ

2018/2/24

『ダーリンは72歳』(西原理恵子/小学館)

 知らない人はテレビ等で目にしこう思うだろう。「高須クリニックの院長の後ろにいるあのおばちゃん、誰?」「それっぽく“YES顔”して微笑を浮かべているあのおばちゃん、誰?」「大物感を醸し出しているあのおばちゃんは何者だ」と。あのおばちゃんこそが漫画界の鬼才・西原理恵子先生なのであります。実際に大物なのであります。

 一方、こう思う昔からのファンもいるのではないか。「おいしいネタを見つけたな」と。

『ダーリンは72歳』(小学館)は、美容整形業界を牽引する72歳の高須克弥院長と漫画界の女帝・サイバラ御大、合計124歳の生活を赤裸々に描いたエッセイ漫画だ。シリーズは『ダーリンは70歳』(小学館)からスタート。高須の実年齢に合わせて年齢部分は毎年改題しており、単行本は毎回高須の誕生日直前に発売している。

 西原は、園児の無邪気な暴れっぷりを描く漫画『ちくろ幼稚園』(小学館)でデビュー。ド素人が麻雀の世界にのめり込んでいく『まあじゃんほうろうき』(竹書房)、食の名店に突撃して「まずいまずい」と言い続ける『恨ミシュラン』(朝日新聞社)、一癖も二癖もある大人たちによる世界各国珍道中を著した『鳥頭紀行』(朝日新聞社ほか)、前夫・鴨志田穣と築いた家庭の足跡を綴る『毎日かあさん』(毎日新聞社)など、歩んできた人生をネタに、濃厚かつ軽快な漫画を描き続けてきた。かと思うと、『ぼくんち』(小学館)や『いけちゃんとぼく』(角川書店)、『女の子ものがたり』(小学館)など、少年少女のセンチメンタルな情調を表現した作品なども発表している。

 「りえちゃん」「りえぞう」「サイバラ」「かあさん」「りえくま」と、作品に応じて、自画像を描き分けてきた西原。「りえくま」になってもその視点は未だ健在。生まれたてのシーラカンスのような姿をした高須はスパゲティを口いっぱいにかきこみ、西原はダライ・ラマに会う直前まで「ポケモンGO」をやり続ける。大胆不敵。気宇壮大。国士無双。もしかしたら、ピコ太郎による高須クリニックのCMも民進党・大西健介議員への提訴もみーんな西原がネタのために仕向けたのではないかと訝しんでしまう。

 SNS疲れやらつながり依存やら生きづらそうな人が多い世の中になった。いや、人間って、もっと単純な生き物なのだと思う。子どもはかわいいし、好きな人とは触れ合いたいし、怒りたいときは怒ればいいし、笑いたいときは笑えばいいのだ。西原作品に浸っていると、そんな当たり前のことに気づかされる。

 とにかく高須先生も西原先生も元気そうで何より。恋愛も仕事もバリバリ突き進む人生の諸先輩方の姿を見ると、襟を正そうという気持ちになる。

文=梶原だもの