お金を自分のために働かせろ! 使っても使ってもお金が減らなくなる方法って!?

ビジネス

更新日:2018/4/16

『魚を与えるのではなく、サカナの釣り方を教えよう 起業家の父から愛する子へ33の教え』(浦田 健/実業之日本社)

 愛する子へ財産をきちんと残してあげたい。そう考えるのは人間のごく当たり前の性だろう。しかし、老子はこう言った。「授人以魚 不如授人以漁」(人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣りを教えれば一生食べていける)。自分の世代で富(魚)をこつこつ貯め、子供たちに相続させる(与える)ことばかり考えるようになってしまった現代。本当にそれが子供たちのため、さらには社会のためになっているのだろうか?

 子供に釣りを教えるためには、自身も釣りの達人でなくてはならない。釣りが下手な人に、だれも釣りを教わろうとはしないのだから。我が子が豊かな人生を歩んでくれることを願ってやまないあなたに、本稿では1冊の優れた本をご紹介したい。『魚を与えるのではなく、サカナの釣り方を教えよう 起業家の父から愛する子へ33の教え』(浦田 健/実業之日本社)である。

 本書は、優れた釣り師である著者が、自身の子供たちに優しく語りかける形で進んでいく。「お金と幸せの法則」「ビジネス成功法則」「コミュニケーション」「運をつかみ成功する」の全4編で構成された“サカナの釣り方”もとい“人生の切り開き方”は、子を持つビジネスマンのみならず全ての人に有益な、これからの時代を生き抜くための「知恵」と「勇気」を与えてくれる。

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 第1章の「お金と幸せの成功法則」では、最初に「お金儲けは悪いことではなく、世の中のためになることなので躊躇してはならない」と説かれている。また同時に、「お金を手にしただけでは人は幸せにはならない」とも説いている。その上で、以下の5点が、幸福度が高まるお金の使い方として紹介されている。

1.モノではなく体験を購入する
2.特別なご褒美にお金を使う
3.心に余裕ができる時間の使い方にお金を使う
4.先に支払って楽しみを倍増させる
5.他人のためにお金を使う

それぞれの詳細な実践方法やメリットを知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。

 また第2章の「ビジネス成功法則」では、より豊かな生活を手に入れるために不可欠な“お金に対する意識の持ち方”が説かれている。若いうちは、何かビジネスを始めようとしても「お金がない」「信用がない」という壁にぶつかるものだ。著者は、まずは節約をして1000万円貯めることを推奨している。そしてそのためには、「コップの水は飲んではいけない。お金を自分のために働かせる方法を常に考えるべきである」と説いている。

お金持ちは、なぜますますお金持ちになるのかというと、使っても使ってもお金が減らない生活をしているからなんだ。
お金にいつも困っている人は、コップに水が貯まると、その水をすぐに飲んでしまう。つまり給料が全部生活で消えていくからお金に余裕がなくなっちゃうんだね。
(中略)
でも、お金持ちはコップの水を決して飲まない。
コップからこぼれ落ちた水だけを飲んでいる。
(中略)
そのためにも、まず目標にすべきは、“毎月必要になる生活費が給料以外の収入から得られるようにする”こと。これが実現するまでは、質素な暮らしを心がけて徹底的にコップに水を貯め続けるんだ。
(本書75~76ページ)

 非常に胸に刺さる文章であると感じた。財産を増やしていくためには、時代に見合った具体的なテクニックや税金に対する理解なども必要かもしれないが、その土台として、このような心がけが出来ていないと上手くいかないのだと身につまされる。

 本書は、我が子に大切なものを遺してあげたいと考える親にはもちろんのこと、これからの未来を切り拓いていくと野心を抱く若者にも大いに役立つ1 冊であると感じた。毎月読み返して、本書の濃く有益な内容を自分のメンタルに刷り込んでいきたい。読後私は、自分自身に対してそう誓った。

文=K(稲)