中小企業は価格競争では勝てない! 安売りせずに生き残るために必要なことって?

ビジネス

2018/5/17

『安売りしない会社はどこで努力しているか?』(村尾隆介/大和書房)

 中小企業は、大企業相手に安売りでの対抗はできない。しようとすれば、売上はあがっても利益が出ないなど会社の資産を増やすことができず、投資もできず、結果長く続けることができなくなってしまう。しかし、お客さん目線では基本的には安い方がいいに決まっている。それでも、多少高くても欲しい、買いたい、と思うものもある。そういった「高くても欲しいもの」は何が違うのか。そんな中小企業が抱える悩みを解決してくれそうな『安売りしない会社はどこで努力しているか?』(村尾隆介/大和書房)という本がある。

 本書によると、「自分の困りごとを解消してくれるなら多少高くてもかまわない」というお客さんは意外にも多いのだという。自分でどうにかできるものならともかく、時間がなかったり、面倒だったり、そもそも知識がなかったりと個人ではなかなか解決できない案件は多い。そういった部分にまでサービスを掘り下げ、「○○なら安心できる」と思ってもらえれば、価格云々より1つ上の段階へと進める。

 また、商品ではなく会社のファンを作ることも、非常に重要だと書かれている。そのためにはまず「見た目のテーマを決める」こと、そして「仕事観を共有する」ことが必要となる。社会でのポジショニングを考え、オフィス用品から小物、音楽まですべてに統一感を持たせて“らしさ”を作っていくことで、最初は商品しか見ていなかったお客さんも次第に会社自体に興味を持ち始める。また、社内の空気にも“らしさ”が現れ始め、スタッフ一人ひとりが会社の色、仕事観を意識し、木ではなく森を見て動きやすくなる。結果、上がいちいち指示しなくてもよくなり、効率的に会社を運営することができる。

 しかし、たとえ会社のファンになってくれたとしても、商品に安定性がなければ不信感を抱かせてしまい、積み上げた信頼はあっという間に崩れ去ってしまう。そして安定した商品を供給し続けるためには、「楽しい人たちと楽しく仕事をする」ことが必須条件であり、そこにはお金、つまり売上や利益が関係してくる。つまり会社を成長させるには、“らしさ”をしっかりと明確にし、利益を生むことから逃げず、お金と向き合うことが必要なのだ。

 お客さんからきちんとした金額をもらって、「ブランドプロミス」に則ってこれでもかと真っすぐに進んでいく。これを続けていれば、見てくれる人、ファンになってくれる人は必ず現れる。目先の売上を優先するのではなく、長期的に見てこのサイクルを作っていけば、安売りと張り合うことなくブランド力を高め、「ここがいい!」と思ってもらえる会社に成長していくのだ。

 この『安売りしない会社はどこで努力しているか?』には、ここで挙げた以外にも様々な安売りしない方法、価値を上げる方法が掲載されている。また、実例も紹介されているため想像しやすく、実践しやすいのも魅力。ただひたすら作業をこなすのではなく、きちんとした仕事をしていくために、こういった課題は少しでも早くクリアしていかなければならない。

文=月乃雫