中学受験は親の受験!? 1時間2万円の予約がとれない家庭教師が教える「大逆転の志望校選び」

出産・子育て

2018/5/25

『中学受験 大逆転の志望校選び 学校選びと過去問対策の必勝法55』(安浪京子/文藝春秋)

 2020年度の大学入試制度改革の影響か、ここ数年関心が高まっているという「中学受験」。受験対策塾の新学期はすでに2月からスタートし、6年生ともなればそろそろ模試も本格化しはじめる頃だ。

 よく「中学受験は親の受験」といわれるように、たとえ塾に通っていたとして家庭でのフォローアップは必須だ。受験生といってもまだ小学校。「中学受験する!」と決めたなら、親子でがんばるしかない(ちなみに現在、スピリッツで連載中の中学受験漫画『二月の勝者』の冒頭ではいきなり塾講師が「(合格したのは)父親の経済力と母親の“狂気”」と子どもたちに言い放つ。ショッキングだが受験生の親には興味深いハズだ)。

 というわけで、親としては最新情報や効果のあがりそうな勉強法などぜひ知りたいもの。特に中学受験で気になるのは「学校の選び方」で、中学・高校という子の成長と将来に関わる大事な時期をどんな環境で過ごさせるのか、親としてはしっかり研究して選びたいものだ。とはいえ、つい偏差値で合格圏の学校ばかりに目が行ってしまうもの現実で…。

 そこでおすすめしたいのが、新刊『中学受験 大逆転の志望校選び 学校選びと過去問対策の必勝法55』(安浪京子/文藝春秋)だ。学校の本当の姿を捉え志望校を選ぶまでの考え方を細かくサポートし、過去問対策〜受験スケジュールの立て方まで6年生から十分間に合う実践的な志望校対策をバッチリ教えてくれる。

 著者は、約20年間、算数の指導や受験カウンセリングに携わってきたプロ家庭教師の安浪京子氏。1時間2万円と高額ながら3年前から予約しないと指導が受けられないほど人気というカリスマ家庭教師が、自身の生徒のエピソードを交えながら家庭でできる実践テクニックを教えてくれるというのだから心強い。

■偏差値だけではわからない「校風マトリクス」に注目

 なかでも注目したいのは、冒頭で紹介されている「校風マトリクス」だろう。多数の中学受験の専門家の協力の元に完成したというこの図は、縦軸を「管理⇆自主性」横軸を「体験⇆知識」として、男子校・女子校・共学校・大学附属校別に相対評価してマトリクス化したという画期的なもの。図をみれば偏差値帯で横並びに見ていた学校が、校風でみると実はバラバラだったことが一目瞭然。さらにどんな環境で子供を育てたいかという希望(たとえば「勉強や生活面をしっかりフォローしてくれる学校がいい」「いろんな体験をさせてくれる学校がいい」など)にあった学校の顔ぶれを簡単に知ることができるので、志望校の絞り込みにもうってつけだ。

 とはいえ、いくら校風が気に入っても「志望校の出題傾向」と「本人の対応力(例:処理型の問題が得意で論述系が不得意、正確性は高いがペースが遅い、など)」のミスマッチや「答案形式の不慣れ」があると、いくら偏差値的にはOKでも合格可能性が低くなるのが中学受験の厳しい現実。本書はそうしたリスクにも正面から向き合い、入念な赤本(過去問)対策だけでなく、出題傾向(算数:典型<基本>⇆思考<応用>と偏差値、国語:記述問題の量と偏差値)の男女別マトリクスを使って、より子供のタイプにあった学校選びができる構成になっている。

「現実的な志望校は遅くとも6年生の9月までには決定すべし」と本書。GW明けには体育祭や学園祭など、学校のリアルな姿に触れる機会が増えてくる。ますはこの本で学校の見方の基礎知識をふまえてからのぞめば、貴重な時間を最大限に有効活用できることだろう。子供の幸せな未来のために、がんばれ親。先手必勝!

文=荒井理恵