中年リーマン好き集まれ! おじさんたちがBLの世界に飛び込む?

マンガ

更新日:2018/6/11

『会社のおじさん 今日もBL?』(鈴木もなか/ジーウォーク)

 電車で見かけるサラリーマンの集団……。上司と部下だろうか? 取引先との会議終わりだろうか? くだけた感じで話しているのもいいし、何かあったのか、上司らしき人が部下をちょっと叱ってる感じもいい……。眼福でした。ありがとう、おじさんたち……。

 そんな感じで、秘かに中年、若手問わず、働く男性たちに萌えている同志の方々へオススメしたい『会社のおじさん 今日もBL?』(鈴木もなか/ジーウォーク)。

 本作はリーマンのガチBLマンガというわけではない。

advertisement

 BLという未知の世界を知り、「これがBLなのか?」とドギマギしたり、部下との関係に悩んだり、女子さながらにBL(っぽい)トークをしてワイワイキャッキャしたりするおじさんと、その(何も知らない)部下たちの日常(?)を描いた、ほのぼのマンガである。

 中間職のサラリーマン谷中(やなか/54歳)は、自分を慕ってくれる素直な部下、里見(さとみ)を可愛がっている。ある時、同年代の同僚から「そいつお前のこと好きなんじゃないのか?」「そういうの、BLって言うんだよ」と言われたことから、里見君のことが気になり始める。

 自分をさりげなくフォローしてくれる里見君のスマートさや優しさに、「これがBLなのか?」と胸キュンしてしまう谷中。そんな二人を「オフィスラブ始めちゃう~?」と面白がって見ている千駄木(せんだぎ/谷中の同僚/おじさん)。

 千駄木にけしかけられて、里見を意識してしまう谷中だったが、里見が自分に対して抱いている好意が、父親に対する憧れであることを知って、「だよね」と思いながらも、ちょっとしょんぼりしたり……。そんな感じのコメディマンガである。

 本作の一番の魅力は、BLという言葉が飛び交いながらも、決して本当にBLしないところだ。谷中も、単純に部下として里見君のことが好きなのは分かっているし、千駄木も本気でBLが好きなわけではなく、腐女子の娘から得た新知識を披露したいだけのような気もする。里見ももちろん、上司として谷中を慕っているだけだ。

 それが勘違いだったり、思い込みだったりして、「まさか、これがBL?」とおじさんたちがドギマギするのが、ほっこりして笑えるマンガなのである。

 リーマンBLは、実際にはあり得ないだろうけど、本作のような会社やおじさん、展開はリアルに存在するかも? と、おじさん&リーマン萌えの方々の妄想を膨らませてくれるのも嬉しい内容だ(多分、リアルなおじさんたちが読んだら、「これもあり得ねぇよ!」と突っ込まれるだろうけど)。

「こんな会社あったらいいな」がいっぱい詰まっている本作。よく意味が分からずオメガバースについて語るおじさんたちも登場して、めちゃ可愛いです。

文=雨野裾