伝わる資料は何が違う? 知っておきたい、「人を動かす」ビジネス資料の作り方

ビジネス

公開日:2018/7/20

『ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた』(松上純一郎/日本経済新聞出版社)

 社会人になって、ビジネス的な資料の作り方に悩む人は非常に多い。かくいう筆者もそのうちの1人だ。なぜこれを学生時代にもっとちゃんと教えてくれないの!?と文句を言いたくなる。しかし、文句を言っていても仕方がない。筆者はもう社会人だ。自分で勉強するしかない。

 そんな中、気になる本を見つけた。『ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた』(松上純一郎/日本経済新聞出版社)という本だ。本書によると、最適な“型”をマスターすることで、分かりやすい資料を効率的に作ることができるようになるらしい。

 な、なるほど……。その“最適な型”が知りたいわけなのだが、筆者みたいな文系人間でも作れるようになるのだろうか……。

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 最初に知っておかなければならないのは、「プレゼンテーション用資料」と「説明資料」は違う、ということらしい。「プレゼンテーション用資料」は、いわば“視覚的補助”が目的で作られる、プレゼンテーションを行なうことが前提の資料。そのため文字が少なく写真やイラストが多めという特徴がある。対して「説明資料」は、その資料だけで完結している、“一人歩きする資料”である必要がある。これらを理解しないままに資料を作ると、情報の過不足が問題となり、相手に情報が伝わらないのだ。

 これを踏まえたうえで次に知っておきたいのが、「文字だけでは通じにくい」ということ。近年、社会人の読解力は低下傾向にあるそうで、文字だけが並んでいる資料は読んですらもらえない場合もあるのだとか。相手にきちんと読んで理解してもらうためには、なるべく負担を与えないよう、図解やグラフを用いて伝える必要がある。

 これらを活用することで、読みながら頭の中で整理するという手間が省け、ストレートに頭の中に入ってくる。だが、図解やグラフには様々な形式があり、間違ったものを使用すると伝わり方が半減してしまう。伝えたい項目は何なのか、比較したい項目は何なのかを明確にし、それに合ったものを選ぶ必要があるのだ。

 また、図解においても同じことだ。この本によると、図解には、基本となる「押さえておきたい6図解」、そして応用編の「覚えておくと便利な6図解」という“型”があるらしい。そしてこれらにはそれぞれ、適した使い道がある。例えば「列挙型」という形式は、直接的な関係のない要素を並べるのに適している。また、「背景型」は1つの事象に複数の要素があることを示す場合に、「拡散型」は1つの要素が複数の要素に分散する場合に適している。他にも「合流型」「フロー型」「回転型」などがあり、まずはこれらの型の適切な使い方を覚えるのが、分かりやすい資料への近道なのだそう。

 このように、この『ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた』は、人に理解してもらうための、伝えるための資料を作る基礎がしっかりと詰め込まれている。そしてタイトル通り、ドリル形式の、書き込み式のスペースも設けられており、そこに書き込み確認しながら進めることができる。

 同じ企画であっても、資料によって通るか否かが分かれるのが大人の世界。せっかくなら、「伝わらない」と嘆いて終わるのではなく、伝わる方法を学んで人を動かしていきたい。

文=月乃雫