最強のメンタルタフネスを手に入れろ! AI時代で生き残るために

ビジネス

2018/9/26

『人生が変わるメンタルタフネス グーグル流「超集中」で常識を超えるパフォーマンスを生み出す方法』(ピョートル・フェリクス・グジバチ/廣済堂出版)

 数あるメンタル強化本の中でも本書『人生が変わるメンタルタフネス グーグル流「超集中」で常識を超えるパフォーマンスを生み出す方法』(ピョートル・フェリクス・グジバチ/廣済堂出版)は、その目的を異にしている。

 著者ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の説くメンタルタフネスとは、何事にも動じないふてぶてしさや、どんな難局をも乗り越える屈強さというよりは、自分の可能性を広げ、心の声に従うことへのためらいや恐れをはねのけ、新たな価値を社会にもたらそうとする生き方のことである。

■「今まで通り」の生き方は通用しない

 世の中の価値観は大量生産・大量消費から現在の「質」重視へと変わり、さらにメンタルの時代へ移行すると著者は予測する。データ分析やエビデンスから生まれる発想力はAIに置き換えられ、人間に求められるのは計算では生み出すことができない直感とインスピレーションによる新たな価値創出力に極まっていくというのだ。ここで必要な能力こそ、現状の延長線上ではなく、次元を超える発想力と実行力、そしてそれを支えるメンタルタフネスなのだ。

■若者の好奇心は欧米の老人並み

 外国人であり、またグーグルの人材開発のキャリアを持つ著者は外からの目線で日本人の現状を憂う。メンタルタフネスの原動力ともいえる好奇心は欧米の老人並みと指摘され、恥の文化や組織への帰属意識の強さは、精神性の成長の過程である自己認識・自己開示・自己表現・自己実現への妨げになりうるというのだ。また、共通の価値観を重視する仲間意識は、多様な人材による「思考の多様性」のメリットを排除しかねないという。この「思考の多様性」こそイノベーション創出へグーグルが大切にしている組織文化のひとつなのだ。

■グーグル流メンタル強化法とは

 グーグルのメンタル強化の柱がマインドフルネスとエネルギー管理だ。マインドフルネスは集中力が極度に高まった「超集中」(フロー)状態をつくり、インスピレーションを生む効果をもたらすという。姿勢を整え、呼吸を意識し、感情に意識を向け、自らを客観視する4つのステップにより、自分との絆を深め、リラックスすることにより次元を超えた視点を得ようとするものである。エネルギー管理は自分の持つエネルギーを物理的・感情的・心理的・精神的エネルギーに分け、それらを順番に高め、循環させることによってエネルギー総量を最大化させパフォーマンスを向上する方法であるという。

 他にも、楽しいと思える心があってこそ最高のパフォーマンスが出せること、頑張りとか努力ではなくその次元を超えることに着目すること、感謝の気持ちがリラックスと自然体を生むこと、また、人を巻き込む力として、相手との空間だけでなく過去から将来への時間軸をも加えた4次元でコミュニケーションを考えること、など多数のメソッドが紹介されている。

 著者は「スキルを磨くには限界があるがメンタルをタフにすることに限界はない」という。本書のメソッドを実践し、人生を変え、世の中を変えるチャレンジに取り組もうではないか。それがAI時代の生き残り策でもあるのならば、これに勝るビジネススキルはないはずだ。

文=八田智明