『めちゃイケ』とんねるずの終わり。なぜマツコと有吉は支持される?

エンタメ

公開日:2018/9/30

『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(ラリー遠田/イースト・プレス)

 今の30代、40代が子どもだったころ、すなわち80年代から90年代。テレビはキラキラと輝いていた。これから何が起こるのか。ワクワクしながらテレビの前で胸をときめかせていた人は多かったのではないだろうか。今の子どもたちはどうなのだろう。YouTubeなどを見ながら同じような想いを抱いているのだろうか。

 なぜ、『みなさんのおかげでした』『めちゃイケ』の時代は終わったのか。なぜ、フジテレビは低迷しているのか。なぜ、『アメトーーク!』『ゴッドタン』『水曜日のダウンタウン』はウケているのか。なぜ、視聴者は有吉弘行とマツコ・デラックスから目を離せないのか。なぜ、大物芸人はネットで番組を始めるのか。『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(ラリー遠田/イースト・プレス)は、テレビ業界とお笑い界で巻き起こっている地殻変動を、膨大な資料をもとに徹底的に分析した一冊だ。

 時代は変わるものだ。そんな一言で済ませてしまえば、話は終わってしまう。目を凝らしながら変化の境目を観察してみると、興味を掻き立てられる事実が多くちりばめられているものだ。

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 テレビの世界でいうと『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃイケ』の終了と有吉弘行とマツコ・デラックスの台頭が歴史の一つの境目となっているような気がする。

彼らは、いまのテレビ業界を俯瞰したような、冷めた目線で見ている、少し変わったタイプのタレントである。彼らのようなタレントが最前線で人気を保っているという事実が、現代のテレビのあり方を象徴しているともいえる。

 とんねるずやナインティナインは眼前の物事に熱中し、その様を視聴者に魅せるタレントだが、有吉とマツコは視聴者と共に冷めた目線でコメントを残していく。今の視聴者はそんな有吉とマツコ側を支持しているのである。

 テレビは時代を映した箱なのだと思う。平成の終わり、インターネット全盛の時代ではあるが、今をときめくYouTuberが投稿している動画のほとんどはテレビの真似事である。テレビはまだ、メディアの王様として君臨しているのだ。今後、テレビを含めたメディアはどうなっていくのだろうか。本書ではテレビの変化、コンテンツビジネスの展望についても綴っている。

文=梶原だもの