職場やSNSで人気のアノ人は何が違うのか? 人気者に“変われるチャンス”とは

暮らし

2018/10/11

『POPULAR 「人気」の法則 人を惹きつける謎の力』(ミッチ・プリンスタイン:著、茂木健一郎:訳・解説/三笠書房)

 私たちは、あらゆるコミュニティの中で“人気”という概念にとらわれている。学生時代の“スクールカースト”に始まり、SNSのフォロワーや「いいね」の数、職場でのなぜか意見が通る人…などなど、常に“自分が他人から好かれているか”を気にしてしまう。そして、どうすれば自分にも“人気”が出るのか、皆から好かれるアイツは何が違うのか…とぐるぐると考える。

 こうした考えを「なんかいやらしいな」と思う人もいるかもしれないが、本書『POPULAR 「人気」の法則 人を惹きつける謎の力』(ミッチ・プリンスタイン:著、茂木健一郎:訳・解説/三笠書房)によれば、“人気”を追い求めることは人間の本能に基づく当たり前の行動であり、その人の幸福度にも直結する重要なことなのだという。はたして、“人気”の正体とは何なのだろうか。本書では、単なる経験則ではなく、臨床心理学者である著者の研究や、認知科学、心理学、神経科学などの事例からそれを解き明かしていく。

■人気には2種類ある! 「ステータス」と「好感度」

 ひとくちに“人気”といっても、現在の社会科学においては、“ステータス”と“好感度”の2つのタイプがあると考えられている。前者は、「支配力」「目立つこと」「才能」「影響力」などによって測られるもので、日本語なら“社会的地位”という言葉に置き換えるとわかりやすい。

 後者は、ひとりの人間として「皆に好かれている」ということ。著者によれば、この“好感度”こそが、私たちの幸福度を決める重要な要素なのだという。心理学者たちの研究結果からも、皆から好かれる人ほど犯罪率や精神疾患の発症率が低く、よい仕事に就き、長期間友人や恋人と良好な関係を築きやすいことがわかっている。研究者たちが考える“好かれる人”の共通点は次の6つだ。

環境に対する適応力がある
賢い(賢すぎない!)
気分が安定している
最後まできちんと話をする
相手にも話す機会を与える
創造的である――問題が生じたときに解決策をひねり出す

 そして、最も大切なのが“和を乱さない”ことだという。だが、こうした特徴を一朝一夕で獲得できるのであれば苦労することはない…。では、どうすればいいのだろうか。

■人気には、“まわりに対する自分の接し方”が集約されている

 残念ながら、学生時代の“人気”は、その後の人生に大きな影響を与えるようだ。これを説明するのが“交互作用モデル”である。例えば、好かれない子供は、幼いころから人に誘われることが少ないため、集団の中で好かれる言動を学ぶ機会が限られる。そうなると、ますます好かれない人間になり、苦しい悪循環が生まれてしまう。それ故に、学生時代に好感度が低かった人は、その後も好感度が低い人生を送ってしまう可能性が高い…ということだ。

 この話を聞いて、「じゃあもう自分は無理なのか…」と落ち込んでしまう人もいるかもしれない。だが、話はこれだけでは終わらない。著者によれば、人から好かれない自分を変えるためには、「嫌われていた過去の影響に、今の自分が引きずられないようにすればいい」のだという。

 人気には、“まわりに対する自分の接し方”が集約されている。すなわち、人に親しみを込めて挨拶したり、親切にしたり…というように、日々の行動を少しずつ変えていけば、それが将来に影響を与えるのだ。こうした言動をコツコツ積み重ね、好かれる人の好循環に乗ることを目指してほしい。

 本書では、こうした“人気”にまつわる学問的な分析を、豊富な研究事例や、具体的なキャラクターの例を交えながら解説してくれる。その他にも、SNS上の「いいね」が脳にどんな影響を与えているのかや、「ステータス」を追い求めることの負の側面など、気になる話題が目白押しだ。こっそり本書をチェックして、人気者になるための第一歩を踏み出そう。

文=中川 凌