浮気や不倫が止められない「セックス依存症」とは? 苦しい恋を選んでしまうのには理由があった
更新日:2021/1/7

友人から「そんな男のどこがいいの?」と言われても恋心を捨てられず、苦しい恋に悩んでしまった経験がある人もいるだろう。しかし、こうした人の中には、苦しい恋を無意識のうちに選び、繰り返してしまう恋愛依存症の人もいる。そんな人々の心の声をまとめ、傷を癒す対処法を教えてくれるのが『恋愛依存症』(伊東 明/実業之日本社)だ。
心理科学者の伊東氏によって記された本書には苦しい恋愛体験が具体的に描かれており、「共依存」「回避依存」「ロマンス依存」「セックス依存」という4つの恋愛依存症の原因や当事者の心理、対処法が収録されている。
恋愛依存症というと、ある特定の人にしか起こりえない特別な病気だと感じられる人もいるかもしれない。しかし、実際はどんな人も陥ってしまう可能性がある身近な病気だ。例えば、あなたはこれから挙げる質問にすべて「NO」と答えられるだろうか。
□「あの人がいなければ私は何もできない」と思ったことがある。
□寂しさのあまり、つい好きでもない人とデートをしたり、関係を持ってしまったことがある。
□多くの友人から「別れたほうがいいよ」と言われているのに、どうしても別れられない。
□自分が追いかけるのはいいが、追いかけてくる相手にはまったく魅力を感じない。
□自分の人生を素晴らしいものに変えてくれる誰かがきっとあらわれると思う。
本書には24のチェック項目があり、そのうち3つ以上当てはまるものがあれば、恋愛依存症である傾向や恋愛依存症に陥る潜在的傾向が強く、すべてに「NO」と答えられない限り、恋愛依存症に陥る可能性は十分にあるのだという。
恋の形は人それぞれだが、依存的な恋愛は人に相談しにくく、心に深い傷も与える。では一体、どうすれば依存症の人は幸せな恋を手にできるのだろうか。本稿では4つの恋愛依存症のうち「セックス依存症」にスポットを当て、原因や対処法を詳しくご紹介していこう。
■真面目な人こそセックス依存症に陥る可能性がある
「自分は本当に悪い女だと思うし、彼氏や旦那には申し訳ないと思っているけれど、隠れて浮気相手や不倫相手とセックスをしている」――そんな人には言えない一面を秘めている女性も世の中にはいるはず。しかし、止められないほど、セックスで得られる刺激と快感に固執している方は「セックス依存症」に陥っている可能性があるため、注意が必要だ。
セックス依存症とはセックスという行為(観念)に取りつかれているため、セックスをせずにはいられなかったり、性衝動を自分でコントロールできなくなっていたりする状態のこと。基本的にはアルコール依存症を始めとする他の依存症と同じで、女性であれば拒食症や過食症とセックス依存症がクロスしていることも少なくないという。
セックス依存症は一時、プロゴルファーのタイガー・ウッズ氏やヘヴィメタル界のゴッドファーザーとも呼ばれているオジー・オズボーン氏が告白したことで知名度が上がったが、まだまだ正しい理解がなされにくい病気のひとつである。
言葉の響きから軽く考えられることも多く、センセーショナルに煽り立てられたり、読者や視聴者の性欲をそそるための謳い文句にされたりもするが、当事者は性病や金銭的な問題、社会的地位の喪失、家族との不和、空虚感、不安感、焦燥感などに苦しめられているのが特徴だ。
そして、セックス依存症が引き起こされるのは、セックスのオーガズムが緊張や興奮状態を軽減してくれることに関係がある。日常的に強いストレスにさらされている真面目な人ほど、このリラックス効果の虜となり、心の逃げ道を求めるあまり、依存症者になってしまう可能性があるのが、この病気の恐ろしさである。
■セックスで“生きていること”を確かめる
セックス依存症は“生きていることを確かめるため”に始まることもある。セックスは「生きている」という実感を頭ではなく、体全体で味わわせてくれるからこそ、自分の存在を確認するためにセックスが止められなくなってしまう人もいるのだ。
その例として本書内には音楽アーティストを目指していた早紀さん(24歳)の話が描かれている。早紀さんは中学生の頃からリストカットを行っており、大人になっても作詞・作曲がうまくいかないときやステージでうまく歌えなかったときには“自分を取り戻すため”にリストカットを行っていた。
しかし、体が成熟するにつれ、早紀さんはセックスがリストカットと同じような快感を与えてくれると感じ、セックスも止められなくなってしまった。
早紀さんの職業はやや特殊なものではあるが、私たちも同じような自己嫌悪感を日々の生活の中で感じることがあるのではないだろうか。そのため、セックス依存症も他の恋愛依存症と同じように身近な病気であるといえる。
こうした依存症を解決するにはまず、自分自身が依存症であると認識し、専門家に助けを求めることが大切だ。セックス依存症のような病気は救いの手を求めることに勇気がいるが、カウンセリングや性の問題を扱っているクリニックへ足を運んでみることが有効な対処法となる。
なお、本書には「認知的再構成化」や「行動制限」「危険な状況の認識と回避」という自分ひとりでもできる、セックス依存症からの回復法も掲載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。「苦しい恋愛をやめられない自分が大嫌い」と悩んでいる方は伊東氏の優しい言葉に触れながら、自分を客観視することから始めていこう。
最後に、さまざまな依存症に悩んでいる方に、伊東氏のこの言葉を贈りたい。
あなたは幸せになっていいのだ。「私は幸せになっていい」と自分に何度でも言い聞かせよう。自分が幸せになることを、自分が許してあげられるようになるまで何度でも。あなたの今の状況は私にはわからないが、きっと、そこまで苦しむ必要はないはずだ。あなたは幸せになっていいのだ
文=古川諭香