本は読むんじゃなく「見る」だけでいい!? 本の内容を一番効率よく吸収する方法

ビジネス

2018/11/15

『見る読書』(榊原英資/ベストセラーズ)

 みなさんは本を読むときにどのような読み方をしているだろうか。「まえがきや目次、あとがきには大した内容がないだろうから読まない」なんていう人がいたら、すぐさま改めたほうがよさそうだ。まえがきやあとがきには本の著者がいちばん言いたいことが簡潔に書かれており、目次からはどのような論理展開で著者が主張をしているかということが読み取れるからだ。

 世の中には、上に述べたような本の読み方をより発展させた、もっと斬新な読書法が存在するらしい。本稿では、そんな読書法を指南する書籍『見る読書』(榊原英資/ベストセラーズ)をみなさんに紹介したい。

 本書の著者である榊原英資氏は、大蔵省(現・財務省)に入省後、IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、同財務官などを歴任し、為替や金融制度の改革に尽力してきたことから「ミスター円」とも呼ばれる。独自の理論で日本経済に斬りこんできた著者の思想は、どういった読書法から生まれてきたのだろうか。

■数ページしか読まなくても、本はムダにはならない!

 榊原氏が紹介する読書法は、まえがきや目次に目を通した後に、その本の内容のさわりの部分と、自分の知りたい情報が載っている部分だけを読むというとてもシンプルな方法だ。これだけで本を読み終えてしまうのはもったいないと感じる方も多いと思われるが、1日たった24時間しかない大切な時間を費やして、自分には必要ないかもしれない箇所まで読むほうがムダなのだ、と榊原氏は述べる。

 本は最後まで読まなければならない、というある種の強迫観念は「一貫性の原理」という心理に基づいているといわれている。つまり、せっかくお金を払って購入した本なのだから、それに見合った行動を取らなければという心理がはたらくということである。しかし、実際に自分にとって必要な部分が手に入れば、残りの部分は読んでも読まなくても同じだ。そう考えると、たしかに榊原氏が提案する読み方のほうが効率的だと考えられる。

■読書の際に、付箋やメモ書きは必要ない?

 上述のように、まえがき、目次、あとがきをまず見て(読む、のではない)、あとは自分の必要な部分だけをかいつまんで読むという読書法を推奨していると、「疑問に思った部分や新しい発見があった部分に印を付けたり、大切だと思う部分をメモに取ったりする必要があるのでは?」と質問や相談を受けるそうだ。これに対して榊原氏は「その必要はない」と断言する。なぜならば、印象に残った部分があって、そこに印を付けたりメモに残したりしても、その記憶が埋もれてしまえばメモなどなかったことと同じだからだという。それゆえ、「記録」に残すよりも「記憶」にしっかり残るように焦点を絞って読むことが、大切なのである。この頭の中に残った「記憶」の部分は、ちょうど本を「見た」ときの印象的な部分と重なるのだそうだ。

 そういったシンプルな読書法を推奨する本書もまた、著者が主張している「さわりの部分だけを見る」という読書法に適した構成の書籍だ。榊原氏が集中的に述べたいことはおおむね「はじめに」と「おわりに」に簡潔にまとめられており、その他の部分は、読者ごとに関心のある項目や必要そうな内容について、目次を参照しながらそのページを開けばその詳しい内容がしっかりと記述されている。

 この「見る」読書法が向いている人は、(1)ある程度読書経験を重ねてきた高齢者、(2)ビジネス上の必要に迫られて読書をすることが多い青壮年、(3)興味・関心事項が明確で論文やレポートのために読書の必要がある学生、だと著者は述べる。あなたがこういった条件にあり、時間を短縮して効率よく読書体験を積んでいきたいと考えているならば、この読書法を試してみる価値が大いにあるだろう。

文=ムラカミ ハヤト