不満があっても会社を「辞めない」ことを選んだ人たち。1200人の意見から見えてきたのは?

ビジネス

2018/11/21

『仕事はもっと楽しくできる 大企業若手50社1200人 会社変革ドキュメンタリー』(ONE JAPAN/プレジデント社)

 自分の会社にまったく不満がないビジネスパーソンはいないはずだ。「上司がアホすぎる」「正当に評価してもらえない」「社内に不合理なしくみが多すぎる」といった愚痴のひとつやふたつ、誰しも抱えているだろう。

 そんな不満が爆発しそうなとき、取り得る選択肢が3つある。「辞める」か「染まる」か「変える」かだ。スッパリ辞めて、転職や起業することで働く場を変えるのも、ひとつの手だろう。ただ、「隣の芝は青い」ということわざが逆説的に示すように、たいていの場合、隣の芝は青くない。辞めたことで、もっと悪い状況に陥る可能性も十分あり得る。あるいは、いまの会社に染まって現状を受け入れるのも、ビジネスパーソンにとってひとつの処世術には違いない。しかしそれは、ただ不満から目をそらしているだけかもしれない。

 そこで、会社を辞めず、染まらず、「変える」ことを選んだ人たちの体験談を集めたのが、『仕事はもっと楽しくできる 大企業若手50社1200人 会社変革ドキュメンタリー』(ONE JAPAN/プレジデント社)だ。本書を著したONE JAPAN(ワンジャパン)は、会社を越えてつながることを目的に大企業に勤める若手有志たちが2016年に設立した団体。この団体に参加する千人を超える若手社員たちが、それぞれの現場で会社を「変える」ためにどんな行動をし、そこにはどんな工夫があったのか? その具体例が、本書には数多く収められている。

■組織を「変える」ために必要なステップは?

「変える」方法は大きく分けて2つある。ひとつは、社内に仲間を増やし、力を合わせて変えていくというもの。本書に収められている事例でいえば、部署や年齢を横断して社内の有志団体を作ったアフラックの例や、「どんな部署にいても自由に事業提案できる仕組みを作りたい」と社内で提案し、手を挙げた10人とチームを組んだサントリー食品インターナショナルの例などが、これにあたる。

 もうひとつの「変える」方法は、積極的に外に出て他社とのつながりを作るというものだ。ひとつの会社だけでは閉鎖的で内向きになりがちな空気やアイデアも、他社と関わることで大きく変わることがある。本書に収められている事例では、ONE JAPANでのつながりを利用して他社とのコラボレーションを成功させた、三越伊勢丹や中外製薬などがこれにあたる。ただ、他社と積極的につながるといっても、社員ひとりの思いだけではどうにもならないことのほうが多いだろう。やはり、まずは社内に信頼できる仲間を作ることが大切だ。

■大企業勤めでなくても活かせるヒントがある

 本書で紹介されている事例は大企業のものばかりなので、中小企業に勤めている人やフリーランスで働いている人にとっては関係ない話だと思うかもしれない。たしかに、リソースとネームバリューをもった大企業だからこそ実現できることは多い。しかし、規模が小さいからこそ、動きやすく変えやすいという側面もあることを忘れてはならない。

 ひとまず、いま所属している組織で自分になにができるか、本書を参考にもう一度じっくり考えてみて、それから「辞める」か「染まる」か「変える」か、選んでみても遅くはない。

文=奈落一騎/バーネット