会議で「うまく言えない」人必見! 思考をカタチにする「ビジネスフレームワーク図鑑」

ビジネス

更新日:2018/12/25

『ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』
(株式会社アンド/翔泳社)

「フレームワーク」とは、何かを考えたり分析したりするときに、漠然と情報を収集せず、ある枠組みに沿って実行する手段のことだ。効率的に物事を進めるだけではなく、チームで共通の認識を作ることにも役立つ。『ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』(株式会社アンド/翔泳社)には、実際に使える70のフレームワークが収録されている。

 本書の構成は以下の通りだ。

第1章:問題・課題を発見する
第2章:市場を分析する
第3章:課題解決のためのアイデアを練る
第4章:戦略を立案する
第5章:業務を改善する
第6章:組織をマネジメントする
第7章:他者に伝える・共有する

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 この一連の流れは「今からフレームワークに取り組んでいきたい」という人にも参考になるだろう。

 では、本書に収録されている中から、取り組みやすいであろう「なぜなぜ分析」「ムリ・ムダ・ムラ(ダラリの法則)」という2つのフレームワークを簡単に紹介していきたい。

・なぜなぜ分析(第1章「問題・課題を発見する」より)

「なぜなぜ分析」は、問題に対して「なぜ?」を繰り返すことで原因を明らかにするものだ。具体的な例をみてみよう。

例:店舗Aで新入社員のBさんが商品の発注ミスを起こしてしまった

それはなぜ?(1)Bさんは数値の入力ミスに気が付かなかった
それはなぜ?(2)発注業務に関する確認が甘い
それはなぜ?(3)チェックのフローやルールがない
それはなぜ?(4)現場のフローやルール設計は店長に任せっぱなしで属人的
それはなぜ?(5)全店共通のマニュアルがない

 問題を設定する際に、具体的な内容を1つに絞るのがポイントだ。このフレームワークにおいては「前提を疑うことができているか?」「問題についてどれくらい深く考えているか?」「この問題について最も詳しいのは誰?」「似ている問題はないか?」という点を意識すると効果的である。

・ムリ・ムダ・ムラ(ダラリの法則)(第5章「業務を改善する」より)

「ムリ・ムダ・ムラ」は、成果を出すために使っている資源(時間やお金など)の問題点を見つけ出し、改善するものである。「ムリ」は必要とする成果に対して資源が不足していて負荷が高い状態。「ムダ」はその逆。「ムラ」は業務のやり方が標準化されておらず、人やタイミングによってやり方がバラバラで、「ムリ」や「ムラ」が複合的に発生している状態だ。

例:
「ムリ」=取り扱う範囲が広すぎる、受注量が多すぎる、納期設定が厳しい
「ムダ」=同じ問い合わせ内容に時間を使っている、まとめられる業務や工数がある
「ムラ」=同じチームに修正依頼が集中する、営業に計画性がない、電話確認の遅れがある

 ここでポイントとなるのが「10年前と同じやり方の業務はないか?」「なぜムラが生じている?」「当たり前だと決めつけていることはないか?」「複数の問題と関連するものはあるか?」という点だ。効率の悪い業務を見つけ出して改善するのがこのフレームワークの目的である。

 本書では読者特典としてパワーポイント形式のフレームワークのテンプレートがダウンロードできる。PCなどから個人で使うのはもちろん、印刷してチーム内で使うのも良い。本書に収録されている多彩なフレームワークを利用して、思考をカタチにすることで、これまで見えなかった問題点や改善策を探ることができることだろう。企画立案、プロジェクト実行、組織マネジメントなどを行う際にはぜひ役立ててほしい。

文=ジョセート