「一生独身」を覚悟していた40代編集長の婚活 初めて気づいた人生で大切な17のこと

恋愛・結婚

公開日:2018/12/30

『40代ご無沙汰女子の、ざんねんな婚活 婚活して初めて気づいた、人生において大切な17のこと』(浅見悦子/小学館)

「ハイスペ男」「年下イケメン」「バツ3男」そしてまさかの「元カレ」…これはある40代女子が婚活の中で出会った男たちである。

『40代ご無沙汰女子の、ざんねんな婚活 婚活して初めて気づいた、人生において大切な17のこと』(浅見悦子/小学館)は、女性webメディア「OTONA SALONE(オトナサローネ)」編集長が婚活に挑んだリアルな記録である。

 著者は「恋愛がめんどうで苦手」な40代独身。恋愛には、とんとご無沙汰だ。健康、老後のお金、孤独死…そんなことを心配しはじめたのは40歳を過ぎてからだった。しかし、一生独身を覚悟して、自分なりに準備や覚悟をしてきた。そんな著者がなぜ婚活を始めたのか?

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 理由はふたつある。ひとつは、「仕事」。身も蓋もありませんが…と著者が前置きするとおり、自身のwebメディアで何か恋愛の記事を始める必要があったのだ。記事の内容を検討しはじめたそのとき、40代の婚活話はあまりないと気づいた。もうひとつの理由は、「好奇心」。自身が婚活をやって記事にするという、コンテンツとしての面白さを求めた。

 いざ始めた婚活で出会った男性には色々なタイプがいた。ハイスペックな男「エリートさん」、イマドキ年下男子「メンノンさん」、白髪混じりのダンディおじさま「ホワイトさん」、婚活アプリで出会った男「メガネさん」……。ご無沙汰デートを繰り返す中で、10年ぶりに再会した昔の男「モトカレさん」も登場する。著者は時に楽しみながら、時にとまどいながら、自身の結婚観を見つめはじめる。

 本書において著者は17の「婚活をやってわかったこと」を手に入れた。たとえば、以下のようなことだ。

・結婚も趣味も何事も、新しく始めるのに遅いということはない。
・いろんな男性とデートしたり会ったりすると、本当に好みな男性のタイプが明確になる。
・うまくいかなくても自分を責めない。相手とご縁がなかったと思うこと。
・残りの人生、お互いを支え合いながらずっと一緒に過ごす相手を見つけたい。結婚もひとつの選択肢。でも、結婚しなくてもいいのかもしれない。

 著者は2年の婚活で10人の男性とデートを重ねた。いろんなタイプの男性と会う中で、本当に一緒にいたい男性像が明確になってくる。穏やかさ、誠実さ、言葉づかい……。婚活おいての「NG条件」ならぬ「OK条件」が見えてくる。以前は「こんな男性はイヤだ」とばかり言っていたが、「こういう男性がいいな」という視点をはっきり持つことができた。

 婚活におけるデートを、著者は「就職試験における面接」にたとえる。色々な人とデートや会話をして、自分がパートナーに求めるものに気づいていく。同じ人でも、会うのを重ねることでわかることがある。それは修行のようなものだ。恋愛にまつわる経験を重ね、気づきを得ていく。その上でたとえ最終的に独身を選んだとしても、これは価値のある経験なのだ。

 著者本人による体当たり企画だけあって、本書における気づきは深い。読み進めるほどに、ただの婚活本ではないと感じる。アラフォー独女の単なるつぶやきでもないし、かといって深刻な雰囲気をまとっているわけでもない。婚活で誰でもぶつかりそうな壁に対して、淡々とした語り口ながら時に感傷に触れ、深みも軽みも交えて、人生観に落とし込む。本書は、多くのオトナ女性にとって人生を見つめ直すきっかけになり得る貴重なルポである。

文=ジョセート