崖っぷちアイドルを救ったのは「心理学」!? 困難を乗り越える時に役立つテクニック

暮らし

公開日:2019/2/15

『マンガ もしも崖っぷちアイドルが心理学を学んだら』(堀田秀吾:著・監修、梓川ななぎ:イラスト、サイドランチ:イラスト/アスコム)

 先日、国民的アイドルグループが活動休止を発表し、世間を驚かせた。他にも「哲学」を勉強するためアイドルを引退すると公言した女性など、実にさまざまな話題を提供してくれている「アイドル」。もちろんアイドルの前にひとりの人間なのだから、アイドル以外にやりたいことはあるだろう。逆に、アイドル活動以外の知識が役に立つケースだって考えられる。『マンガ もしも崖っぷちアイドルが心理学を学んだら』(堀田秀吾:著・監修、梓川ななぎ:イラスト、サイドランチ:イラスト/アスコム)においては、「心理学」によって売れないアイドルグループがスターダムへ駆け上がる姿を詳しい解説つきで描いている。

 本書に登場するのは売れない崖っぷちアイドルグループ「ベイリッシュ」。5人だったメンバーも3人が抜けてしまい、一気に解散の危機に。さらに残ったメンバー「サラ」と「メイ」は、彼女たちの前に現れた「クロエ」と「ノア」に路上パフォーマンス勝負を挑まれ、敗北。落ち込むサラとメイだったが、そこへなぜかクマの被り物をした、一見不審者風の「野村」が現れる。彼のアドバイスを受け、サラとメイはクロエたちにリベンジ対決を挑んで勝利するのだった──。

 ここで野村がふたりに与えたのが「心理学」を使ったアドバイスだ。サラとメイは歌もダンスも及第点だが、実はそれ以前に問題があった。野村はまず「視線コントロール」ができていないという。ふたりは観客と目を合わせていなかったが、目を合わせることは非常に重要なのだ。だが、合わせすぎてもダメ。野村が言うには、「1.60~2.33秒くらいがちょうどいいとされている」ようだ。さらに「姿勢」や「バンドワゴン効果」などを活用することによって、サラたちはリベンジを果たしたのである。

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 野村を正式なプロデューサーとして迎え、対決したクロエとノアがメンバーに加わった新生「ベイリッシュ」。しかし今度は、クロエたちとサラたちの呼吸が合わない。特にサラとクロエは何かと衝突し、サラはクロエに苦手意識を持つ。ここで野村による心理学のアドバイスが。それは他人に受け入れられたい「ポジティブ・フェイス」と他人に邪魔されず自由でいたい「ネガティブ・フェイス」という「フェイスの概念」を意識することだ。なるべく相手の「ネガティブ・フェイス」を刺激しないよう、相手に肯定的に話をするよう野村は勧める。かつて私も人に文章の指導をするとき、かなりキツめに当たっていた時期があった。しかしその人がダメージを受けて「辞める」といい出したとき、初めて「これではダメだ」と思ったものである。これ以降、褒めることを中心とした指導を心がけた結果、うまくいくようになった。私も知らず知らずのうちに、この概念のお世話になっていたのである。

 野村のアドバイスで関係が好転したサラとクロエ。息の合った新生「ベイリッシュ」は、参加したライブイベントを見事に成功させる。以降も問題は次々と降りかかってくるのだが、彼女たちはクリアして先へ進んでいく。もちろん問題解決に心理学が役立てられるのは、言うまでもあるまい。アイドル活動に限らず、世界におけるおよその活動は人間によってなされている。ならば「心を通して、人間を深く研究する学問」である心理学は、多くの場合で有効のはずだ。無論、心理学に限らず「学ぶこと」は必ず自身の力になるだろう。老若男女を問わず、もし何かを学ぶチャンスがあるのならば、ぜひ挑戦していただきたい。

文=木谷誠