嫌な仕事をやめて生きていく! 金も計画もスキルも要らない「しょぼい起業」のコツ

ビジネス

2019/2/15

『しょぼい起業でいきていく』(えらいてんちょう/イースト・プレス)

 会社を辞めたいあなた、会社に入れなかったあなた、会社を作ったけど失敗したあなた、バイトが続かないあなた……「職場に居場所がないな」と感じたあなた。もう、嫌な仕事をするのはやめませんか? 逃げちゃおう! そして……起業しよう!

 いきなり起業? すごい会社を作れと言っているのではありません。わりとお手軽でリスクの少ない、あなただけの小さな会社を作る方法があるのです。それが……「しょぼい起業」です。

 難しいことは一切ありません。開業資金も、特殊技能や専門知識も、事業計画も不要です。少し興味をひかれたあなたに『しょぼい起業でいきていく』(えらいてんちょう/イースト・プレス)を紹介します。

■しょぼい起業ってなに?

 著者のえらてん氏は「店舗で暮らしたら面白そう」という理由で、アパートから店舗物件に引っ越し、そこで不要品を売っていたら、いつの間にか人気の「リサイクルショップ」になっていた……という「しょぼい起業」の創始者。

「しょぼい起業」とは極論すれば、お金がなくても、技術がなくても、計画がなくても「とにかく自分のお店を開いてみる」ことだと言えます。

 そんな、えらてん氏の「しょぼい起業」が、一般の起業と決定的に異なる点があります。それは、「しょぼい起業」の一番の目的は金儲けではなく、やりたくない嫌な仕事から逃げた先で、「あなたが生きていくための居場所を作る」ということ。

 いくら売り上げたのか、いくら稼げたかではなく、その店で生きていけるかどうか、ということが全ての判断基準になっているのです。

 そして、その成功の裏には、3つのポイントがありました。

 1つは、「現金収入だけが利益ではない」という発想。

 えらてん氏は、最初の店でも次に開いたバーでも、いきなり大儲けしようと思っていませんでした。「お金になったり、ならなかったり」することがあっても、現金以外での「利益」を得られればいいと考えていたからです。

 たとえばリサイクルショップに「新しい電化製品」が持ち込まれたとき、安く仕入れて、すぐに売れば高く売れる、と普通の人は考える。でも、えらてん氏は「新しいのは自分で使おう。今持っている古いのを安くてもいいから売ろう」と考えるのです。

 新品で買えば10万円する電化製品を、3万円で仕入れ、自分の持っている中古を1万円で売れば、「10万-3万+1万=プラス8万円の利益」とも言えます。

 近所の人のお手伝いをしたら、たびたび野菜を持ってきてくれるようになった。「お店で売っていいよ」と、不要品をタダでくれた……など、必ずしも現金を得なくても「利益」はあります。

「店舗に住むことで家賃を浮かせた=コスト削減」も、ある意味「現金ではない利益」だと言えますね。

 2つめは、「まずは行動してみた」こと。

 最初に「理想のカタチ」があると、資格を取るのに時間がかかり、店の内装やら機材やらでお金がかかり、なかなかお店が開けない。上手く開店できたとしても、計画通りに儲からない場合に路線変更がしづらい……。

 その点、「しょぼい起業」は人の集まり方や状況や環境によって、フレキシブルにお店の形態もやり方も変えられます。

 一般の起業が「こんな店を持ちたい」という「夢から始まる」のに対し、しょぼい起業は「今の生活の場で、こういう店ならやれる」という「現実の延長線上」に存在するものなのです。つまり「結婚はゴールではなく、スタートだよ」ということなのです。

 3つめは「人との関わりを生み出した」こと。

 えらてん氏は、客が来なくても毎日決まった時間に店を開け、人が出入りできる「オープンスペース」を提供しました。そこにやって来た人たちは、ある日は客となり、ある日はお土産をくれる人となり、協力者や出資者になってくれました。「信頼関係」を築いた人々は、雇ったわけでもないのに店のことを手伝ってくれたり、お店の情報を広めてくれたり、耳寄りな話をもたらしてくれたりします。そこにも、現金ではない利益が生まれるのです。

 そう、「しょぼい起業」とは、どこまでも「あなたが生きる場所を作る」ことであって、その都度「自分にできそうなことを事業化」して変化していけるのです。だから、不況でも潰れにくいし、たとえ店を閉めたとしても、住処は確保されているのだから、路頭に迷うこともない。起業としてはしょぼくても、決してしょぼくない生き方なのです。

 本書には「しょぼい起業」のための詳細なノウハウが、とてもわかりやすく記されています。「どんな場所に出店するのが、しょぼい起業にはベターなのか?」「引越し費用=50万円程度を貯める効率の良いバイト(もちろん合法)」「宣伝費をかけずに店の認知度を上げる方法」などの耳寄りな情報もあります。

「えらてんメソッド」で実際に「しょぼい喫茶店(実名!)」を作った人たちのエピソードや、対談などの読み物にも、生きるためのヒントがちりばめられています。

 この記事を読んで「簡単そうだな、やってみようかな」と感じたのなら、まずは本書を読んで、そして、起業してみてください。とことん、しょぼく。

文=水陶マコト