大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者が考える、幸せになる「読書術」とは?

暮らし

2019/2/21

『本をどう読むか 幸せになる読書術』(岸見一郎/ポプラ社)

『本をどう読むか 幸せになる読書術』(岸見一郎/ポプラ社)、このタイトルに惹かれる人の中には、「本はあまり好きではないが、本を読む必要があるので読み方を知りたい」という人も、「とにかく幸せになりたい」という人もいるだろう。自分こそがそうだという人も、「いや、自分は本が好きで、よりよく本を読みたいのだ」という人も、安心して本書に向き合っていただきたい。どんな目的を持っていても、この本の中に答えを見つけられる可能性がある。

 あなたは今、なぜ読書に向き合おうとしているのか? 昇進試験や受験のため、読書が生きる喜び、単なる暇つぶし…理由はさまざまでも、読書に向き合う人の究極の目的は、集約すればただひとつ。「よりよく生きるため」ではないか。

 本書は、ベストセラー『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健/ダイヤモンド社)の著者で哲学者の岸見一郎氏が、本と自身の人生について語った“読書論”である。

 本を読むと幸せになれるかどうかはわかりません。しかし、私自身は本を読む喜びや楽しみを知っているので、本を読むことで間違いなく幸せな人生を送ってこられたと思っています。

 そう述べる著者は、哲学者として、読書を愛する人として、「字を読めるようになって以来、活字を目にしなかった日は片手で数えられるくらいしかなかったのではないか」というくらいの読書経験を積んできた。

■「幸せになる」手段のひとつが読書

 本書はそんな著者が、膨大な読書経験をもとに、「なぜ読むのか」という人生における読書の位置づけを語るところから、読む本と「どのように出会えばいいか」、手にした本を「どのように読めばいいか」など読書経験を積むための基礎について、さらには、どんな姿勢で読めばいいかという読書ビギナーの悩み、“積読(つんどく)”をどうするかといった「読書の悩み」、本からのインプットをアウトプットに活用する方法など誰もが参考にできる内容になっている。

「本の読み方を考える」という経験は、読書にだけ影響するわけではない。それは知識の得方を検討することであり、時間の使い方を再考するという経験だ。勉強の仕方、仕事の仕方、家事の仕方や睡眠の取り方など、多方面に応用できるだろう。

 その応用範囲の広さから思うことは、反対に「読書」もまた、人生をより充実させるための手段でしかないということである。読書を選ぶことも、また、その他の選択肢を採ることも、「幸せになる」手段の選択は、けっきょくのところ自分自身にかかっている。読書という選択は、その先の選択行為自体をも助けるという点で、知っておいて損はないはずだ。そして本書は、人生をよりよくするための手段として読書を選ぼうという人にとっては、最高に頼りになるガイドになるだろう。

文=三田ゆき