SNSの闇を描く大人気コミック『ゴミ屋敷とトイプードルと私』、ついに新章へ! 新章では、あの主人公がまさかの復活――!?

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更新日:2019/4/5

『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #ラブと癒やしとホントの私』(池田ユキオ/小学館)

 使い方を間違えなければとっても便利なSNS。しかし一方で、「SNS映え(笑)」「SNS疲れ」と話題になるように、SNSで人生が狂っていく人も少なからずいる。SNSは不特定多数の人が見るという性質上、各SNSに合わせた運用をすれば、たとえそれが偽りの自分であってもそれなりに反応もくる。それが嘘か本当か、その人が本当はどんな人なのかは、ほとんどの相手にとってどうでもいいからだ。

 結果、手軽に承認欲求を満たせる感覚にハマり、本当に大切なはずのリアルな生活をないがしろにしてしまう人が出てくる。実際のところ、SNSは底なし沼のような場所だ。そんなSNSの闇を描いた人気コミック「ゴミ屋敷とトイプードルと私」シリーズが、先日新章に突入した。この新章『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #ラブと癒やしとホントの私』(池田ユキオ/小学館)では、なんと初代の主人公がヒーリングサロンのヒーラーとして復活を遂げている。

 初代本作品『ゴミ屋敷とトイプードルと私』で、SNSでの“オシャレでセレブな自分”と現実での“可愛い自分”に溺れ、気づけば34歳になっていた主人公・明日香。承認欲求と勘違いでお金も仕事も地位もすべてを失った彼女は、くも膜下出血で倒れた父親の介護をすることを条件に、実家のはなれに住ませてもらうこととなった――はずだった。その時の彼女はオシャレをして外出することもなくなって10キロ太り、クレジットカードもすべて取り上げられ、見る影もない姿だった。

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 しかし新章では、明日香はヒーリングサロン「アンジェリングル」のヒーラーとして再び輝き、注目を集めていた。以前のブランド尽くしだった派手なスタイルを捨て、ナチュラルメイクに清潔感のあるファッション、身の回りのものや食品もオーガニックにこだわり「シンプル」「健康」「自然派」を前面に押し出して、“新たな自分”作りに成功。過去の自分を「SNS依存症だった私」と認め、それさえも糧にして、悩みを抱えてサロンを訪れる人々を癒してはファンを獲得していた。

 一見すると、いろいろなことがあったけどサロンに出会って立ち直った、まっとうな道を進み始めた女性、という感じだが、もちろんそんな簡単に人は変われない。この“オーガニックな明日香”もまた、演出方法を変えただけの、以前となんら変わらない承認欲求の塊である。その証拠に1話後半ではキラキラした生活から一気に暗転、本性を垣間見せるシーンも描かれている。

 新章はまだまだ始まったばかりで、これから明日香がどのような行動に出るのか、どんな自分演出を行っていくのか楽しみでならない。そしてSNSという身近なツールが巻き起こすこの種の“騒ぎ”は、現実でも誰が起こしてもおかしくないもの。度合の差はあれど、人は誰しも少なからず承認欲求を持っているからだ。

 ひと昔前までは、SNSは表に出せない裏の自分を吐き出したり、ただ趣味を共有したりする場所だった。しかしこれが広まって一般化したことで表になり、さらにいくらでも着飾ることができる分、一部でリアルよりタチの悪いマウント合戦の場になってしまっている。この『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #ラブと癒やしとホントの私』が、本当に大事な自分はどこのどの自分なのかを今一度考えるきっかけになればと切に願う。マウント合戦、あなたはしていませんか?

文=きこなび(月乃雫)