誰も見たことがないお掃除ダークファンタジー『クイーンズ・クオリティ』

アニメ・マンガ

2019/3/16

『クイーンズ・クオリティ』(最富キョウスケ/小学館)

 人の感情は表裏一体。プラスのものもあれば、マイナスのものもあります。とくに「嫉妬」や「嫌悪」「悪意」など負の感情に囚われてしまったときは、悪いほうへ悪いほうへと沈みがちになることもしばしば。いっそのこと、真っ黒になった心をきれいサッパリ掃除してほしい! なんて考えている人におすすめの作品が『クイーンズ・クオリティ』(最富キョウスケ/小学館)です。

(あらすじ)
 人の心に巣食う病と悪意を指す「ムシ」を駆除する“ココロの掃除屋”の奮闘を描く、ダークファンタジー作品。主人公の西岡文(にしおか・ふみ)は、ココロの掃除屋を家業にする堀北家の居候兼家政婦として暮らす高校2年生。彼女は幼い頃の記憶がなく、身よりもなく周囲からは「呪いの娘」と呼ばれた過去もあり、なにやらワケありの女の子。そんな彼女と、居候している掃除屋の38代目当主補佐である堀北玖太郎(ほりきた・きゅうたろう)との恋愛模様も見どころ。

 最富キョウスケ先生の人気作『QQスイーパー』の続編として、2015年から連載中の『クイーンズ・クオリティ』。同作は、ダークファンタジーと謎、お掃除、そしてラブ…さまざまな魅力が詰まっている作品です。前作『QQスイーパー』では、主人公の文の記憶や素性はほとんど明かされませんでしたが、彼女の掃除屋としての素質や、彼女が特別な力を持っていることを示唆したまま2015年に連載が終了。その後はじまった『クイーンズ・クオリティ』では、文の過去や彼女自身が背負っている運命に焦点を当てた内容になり、壮大な物語が展開されています。そこで本稿では『クイーンズ・クオリティ』の魅力をご紹介します。

■魅力その1:文が持つ「女王(クイーン)」の力

 第1巻で、文の中に存在する「女王(クイーン)」の資質が明かされます。クイーンの力とは「何百人 何千人の精神を意のままにできる」という特別なもの。しかし、同時に悪意にまみれた「黒い女王」が覚醒すると、クイーンの毒に感染して大勢の人々が死んでいく「大病(おおやまい)」が発生する可能性があるなど、とても危険な力でもあります。当初は、文が「黒い女王」の力を抑制して「真の女王」になるように修行を重ねていたのですが、ある事件をきっかけに文の中で新たな女王が目覚めます。その名も「白の女王」。彼女はこの世に2人といない幻のクイーンであり、その能力や素性は不明でした。しかし、先日発売された第8巻では、白の女王の謎のひとつが解明され、物語が大きく動いています。

■魅力その2: 掃除屋同士の争い

 人々の精神世界と人間界をつなぐ「間の扉」を守るのも掃除屋の仕事。「玄武門」「朱雀門」「青龍門」「白虎門」という4つの間の扉のうち、堀北家は「玄武門」を守る玄武一族としての役目を果たしています。しかし、たとえ同じ家業をしていても、一族によって性質や掃除の手法が異なり、掃除屋同士で勢力争いが勃発しています。とくに「白の女王」は、各門の勢力図を大きく変えてしまう存在のため、文を巡って掃除屋たちの抗争がはじまってしまいます。第3巻では、クイーンを害悪と捉えている青龍一族が、文を攫ってストレスを与え「黒い女王」をわざと目覚めさせたことも。幾度となく訪れる文のピンチを救っているのが、堀北玖太郎その人です。彼は、唯一クイーンに言葉をかけることができる逑(つれあい)として、ともに戦います。バトルシーンでは少年漫画さながらのアクションが楽しめるのも、同作の魅力です。

■魅力その3:主人公・西岡文のポジティブさ

 主人公・西岡文には幼少期の記憶がありません。彼女が失った記憶には、掃除屋の世界を揺るがす秘密が隠されているとのこと。過酷な運命を背負う文ですが、その性格はいたって前向き。たとえば、少しへこむことがあると「理想のお姫さまになった体(てい)で ええ感じに振る舞い心の安定を図るという痛い癖」があったり、自身の武器が少しダサめな「棒たわし」でも、文句も言わずに「やっぱ棒たわし最高ですよね」とテンションが上がったりと、とにかく元気。彼女のポジティブさを見習いたいです。

 派手なアクションと、ミステリー要素が楽しめる『クイーンズ・クオリティ』。第8巻では、文と玖太郎の記憶に関する謎が明かされ、2人の関係にも変化が訪れ、さらに目が離せない展開になっています。日常に刺激を求める、中高生をはじめ、ファンタジーな世界にどっぷりつかりたい!という大人の皆さんにも手に取ってほしい作品です。

文=丸井カナコ