「多くの人がまた買いたいと言ってくれます。」このキャッチコピーを直すなら…?

ビジネス

更新日:2019/4/3

『届く! 刺さる! ! 売れる! ! ! キャッチコピーの極意』(弓削徹/明日香出版社)

 記事のタイトルをつけるとき、いつも悩んでしまう。ネットニュースは、タイトルでPV(ページビュー)数が大きく変わる。だから、タイトルはある意味本文以上に大切…なのだが、そう簡単にぴたりとハマるものは思いつかない。そんな筆者にとって、本書『届く! 刺さる! ! 売れる! ! ! キャッチコピーの極意』(弓削徹/明日香出版社)で語られる内容は、まさに求めていたものだった。

 本書は、仕事として「コピーを書く」広告業界の方々だけでなく、すべての“商品やサービスの魅力を端的に伝えたい人”に向けられたものだ。企業のマーケティング、自社の商品を売り歩く営業、ネット上でのコンテンツ発信、店舗での販売促進…など、さまざまな場面で本書の内容は応用できるだろう。

■キャッチコピーに必要なのは、「誰に・何を・どう言うか」

 キャッチコピーには、オシャレでかっこいいイメージがある。だが、“うまいこと”を言おうとするあまり、ターゲットや商品の“ウリ”が曖昧になってしまえば本末転倒だ。著者によれば、キャッチコピーを書くときに考えるべきなのは、「誰に・何を・どう言うか」だという。「誰に」は、商品を欲しがってくれる相手。「何を」は、その商品が選ばれる理由だ。この「誰に」「何を」で他社と差別化できていないコピー(商品)は、消費者の心に響かない。

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■やってはいけない“残念な”キャッチコピー

 この「誰に」「何を」を明確にした後、ようやく「どう言うか」を工夫する段階に入る。本書は、ありがちなNG例も見せながら、消費者に“刺さる”コピーの共通点を解説していく。まず、以下のコピーを見てほしい。

多くの人がまた買いたいと言ってくれます。

 誰もが「これじゃダメ」とわかるコピーで、興味を持つ人はほとんどいないだろう。それでは、直すとすれば、具体的にどこをどう変えればいいだろうか。少し考えてみてほしい。

82%がリピーターになってしまう秘密とは?

 著者はまず、曖昧だった「多くの人」という表現を、具体的な数字で表した。さらに、「また買いたいと言ってくれる人」を“リピーター”という強い言葉に置き換え、最後に「?」をつけて疑問形にした。どうだろう、3つの工夫でコピーの印象は随分と変わり、少し「気になる」ものになったのではないか。同じような内容でも、「どう言うか」次第でこれだけ変わる。

 本書では他にも「擬人化する」「ドラマ調で行く」「ソンしたくないと思わせる」など、すぐに使えるコピーの表現パターンがズラリと並んでいる。さらに、第7章では「ウェブサイトで伝わるコピーライティング」と題し、ウェブ向けに特化したコピーのコツを解説。筆者も、タイトルや見出しの言葉選びに悩んだときは、本書の助けを借りようと思う。

文=中川凌