『UC』を継承し、「UC NexT 0100」プロジェクトの幕を開けるーー宇宙世紀の新たな100年の始まりの号令『機動戦士ガンダムNT』、ついにパッケージリリース!

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公開日:2019/5/20

 5月24日にBlu-ray&DVDのリリースと配信がスタートする『機動戦士ガンダムNT』を宇宙世紀ガンダムの壮大なサーガの中で位置付けるとしたら、「継承」にして「起点」の作品ということになるんじゃないだろうか。『NT』は言うまでもなく『機動戦士ガンダムUC』のその後を描いた物語であり、同時に「UC NexT 0100」と題された宇宙世紀の新たな百年を紡ぐプロジェクトの第一弾となった作品だからだ。ちなみに次冬には待望の第二弾となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇場3部作の公開も決定している。そう、いよいよ動き出したガンダムの新たな歴史は、この『NT』を観ずには語りえないものなのだ。

 宇宙世紀0097年、「ラプラス事変」の立役者となったユニコーンガンダムは、その人知を凌駕し超えた力が脅威と見なされ、1号機、2号機共に解体・封印されることになった。しかし、2年前に消息不明となっていた3号機(フェネクス)が再び地球圏に姿を現したことで、『UC』後の束の間の均衡状態が破られ、再び争いの混沌へと巻き込まれていく人類を描いた『NT』。本作においてガンダムを駆るニュータイプはより霊的に研ぎ澄まされ、肉体や生死すら超越した存在へと昇華されている。それは人類にとって果たして希望なのか、それとも終わりの始まりなのかーーいずれにしてもガンダム世界の核心概念であるニュータイプの意味を大胆に変容・解釈していった『NT』は、様々な局面でシンギュラリティと直面せざるをえない未来が差し迫ったこの2010年代の終わりに相応しい、問題提議作であったと言える。

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 ちなみに、今回の『NT』Blu-rayの特装限定版および豪華版には特典としてドラマCD『獅子の帰還』が収録されているが、これが前述の「継承」と「起点」としての『NT』の意味をより際立たせる、極めて重要な作品となっている。同ドラマCDの主人公はバナージ・リンクスと共に『UC』の物語の中心にいたリディ・マーセナス。『UC』の最後で「あちらの世界」に片足を踏み入れたバナージとは対照的に、「こちらの世界」に踏みとどまったリディだからこそ、幾つもの伏線を回収しながら『UC』と『NT』の間の空白を埋める役割を果たすことができたのだろうし、いくつもの回想シーンを手がかりとして『UC』で生じていた疑問の答え合わせをしていく体験としても格別だ。『NT』でバナージがフェネクスとヨナ・バシュタを救うに至った必然も、このドラマCDによって補完されている。

 その他にもBlu-rayの特装限定版および豪華版には特典が盛りだくさん、個人的に「ゾルタン様の3分でわかる宇宙世紀!」が気になって仕方がないが、『閃光のハサウェイ』のトレーラーやロングPVも収録された本パッケージは、まさに新しい百年の幕開けの号令なのだ。

文=粉川しの