遊ぶように人を虐殺する幼き少女の正体とは……? 衝撃的な残酷譚『メイコの遊び場』
更新日:2019/6/19

子どものころ、空き地や立ち入り禁止の廃工場で遊んだことがあるはずだ。そのような場所がなかった人でも自然の中で遊んだ経験くらいはあるのではないだろうか。『メイコの遊び場』(岡田索雲/双葉社)は、子どものころにハマった懐かしい遊びを思い出せる漫画であると同時に、遊びを知らない少女が遊びを覚えてそれを殺しに活かすという虐殺エンターテインメントだ。
本作の舞台は、通天閣が少し小さく見える、大阪のとある町。その町をメイコとお父ちゃんが歩きながら話すところから物語は始まる。
主人公のメイコは、左目に眼帯をして毎日空き地にある土管に座っている。その空き地では、5人の子どもたちが遊んでおり、メイコはただその光景をじっと見ているだけであった。子どもたちはもちろん、あまり見かけないメイコを不気味がるが、リーダー的存在であるアスマは、メイコも仲間に入れて遊ぼうと提案。こうしてメイコは彼らからさまざまな遊びを教えてもらうようになる。教えた遊びがメイコの殺人手段になるとは知らずに。
夜になると、メイコはお父ちゃんと依頼人に付き添い、殺しのターゲットの前で左目の眼帯を外す。左目を見たターゲットはメイコの心の中へ引きずり込まれるのだ。そこで行われる殺人ショーの内容は、アスマたちに教えてもらった遊びを取り入れたもの。左目を見た人は彼女の心の中で遊びの道具とされながら虐殺されるのだ。しかし、現実世界では精神が壊れてもぬけの殻になっているだけで、物的証拠は残らない。まさに暗殺を依頼するには、メイコはうってつけの人材だ。
1巻では、メイコがアスマたちから遊びを教えてもらい、その遊びを夜の殺人ショーに活かすシーンが描かれている。虐殺するシーンこそ生々しいが、話を読み進めていくうちにメイコがどうやってこの遊びを殺人ショーに活かすのか、気になってしまう。自然とメイコに引き込まれていたのかもしれない。
ただ、1巻ではメイコがどうして殺しの目を手に入れたのか、メイコの母親はどこにいるのか、明らかになっていない。また作中の最後には、子どもの一人が左目の眼帯に間違えて触れてしまい、目があらわになるシーンが描かれているが、その子どもはメイコの心の中に引きずり込まれなかった。それはなぜなのかも明らかになっていない。
本作は子どものころの遊びを懐かしむことができるだけではない。遊びを覚えたメイコがどうやって遊びを殺しに活かすのかも、本を読み進める醍醐味の1つといえる。きっとあなたも本作の独特な世界観に引き込まれるだろう。
文=トヤカン