また高尚な笑いを生み出してしまった…。手抜きに全力! 読者は脱力!? ポプテピピック3&4

マンガ・アニメ

2019/6/9

『ポプテピピックシーズン3&4』(大川ぶくぶ/竹書房)

 異色の大ヒットマンガ『ポプテピピック』(大川ぶくぶ/竹書房)の最新刊が発売された。2018年にアニメ化され、キャラクターボイスを毎回変更、クセになる曲、ボブネミミッミ、ヘルシェイク矢野などを次々繰り出し、「今期ナンバーワンクソアニメ」として覇権を握った。

 4月1日には新アニメの放送。何が起こるのか、いやそもそも放送されるのかと震えているファン(仮)も少なくなかっただろう。まさかの放送した4局全てでキャストが違うという、人々をひっくり返らせる仕掛けを行った。

 書店に赴き『ポプテピピック SEASON THREE AND FOUR』を手に取ってみると、さすが覇権マンガ。「店長おすすめ」の帯がついている。ひっくり返すと中国語を日本語に翻訳し、更に再翻訳したような奇妙な文面が並ぶ。実はこの「店長おすすめ」は今回の帯に直接プリントされている文言。平積みすれば自動的に、この本をおすすめしているという十字架を店長が背負わされる仕組みになっている。

 この本をレビューするのはとにかく難しい。読み込めば読み込むほど、KADOKAWAへの心情は誤チェストでごわすとなる。

©大川ぶくぶ/竹書房

「さてはアンチだなオメー」と言わないで欲しい。あまりにもトレンディモンスターかつニッチなネタを扱っているため、読者はそもそもパロの元ネタの記憶を召喚することから始めねばならないのだ。

 各話には「ネットあるあるアフィリエイト目当て同まとめ」「同スパム系広告」を揶揄するネタが散見する。

©大川ぶくぶ/竹書房

©大川ぶくぶ/竹書房

 笑うために元ネタのあれこれを思い出す。そのさいイラつきが喚起され、イラのち笑いという高尚な笑い(※画像参照)が生み出されるのである。

©大川ぶくぶ/竹書房

 画像引用が多いって?いいんだよ!

©大川ぶくぶ/竹書房

 この安定した不安定さがポプテピピックの醍醐味であり、これこそファン(仮)が愛するとびっきりのクソさである。サンリオとのコラボもカフェやグッズなど好調であるし、絵本として流通する日も遠くないかもしれない。

 自分は何をやっているのかとポプ子の有名な虚無顔になりつつ、必死に何度か読み返すと、「こうはなりたくないwww」と笑っている自分にブーメランが当たっていることに気付く。ポプ子やピピ美のツッコミに快哉を叫び、己は2人同じ側だと思っていたのに、いつの間にか別のコマからのツッコミに突き刺され、ぎくりと肩をすくませてしまうのだ。

 読者の敵になり味方になり、変幻自在に読者の何かをガリガリに削る。そのアウトローな力こそポプテピピックの魅力である。

 ちなみに、女の子同士の仲の良さを見るのが好きな一部読者の皆さんは安心してほしい。ポプ子とピピ美の仲良しぶりは今回も変わらない。とりわけ今作では後半、シーズン4では性別と作画担当と等身と顔面が変わる。ぜひ併せてお楽しみいただきたい。

©大川ぶくぶ/竹書房

 また、Twitterタイムラインを手掛かりにパロディー元を検索してみるのもおすすめだ。いささか虚無を感じる作業ではあるが、ある意味「とびっきりのクソ漫画」を誰よりも楽しめる。筆者の体験談だ。

文=宇野なおみ