仕事に出かけず家事は押し付けてくる! 残念なヨメ(ほぼジャイアン)との爆笑リアル4コマ

マンガ

公開日:2019/7/11

『残念なヨメちゃん!』(桜田麩コウイチ/扶桑社)

「昨日ダンナとケンカしてさ~!」
「ヨメにお小遣いを減らされて…」
などという夫婦それぞれの愚痴を聞いていると、不思議だなあと思うことがある。恋人時代の甘い感情もなくなり、ケンカをして嫌な気分になったり、自由に使えるお金が少なくなったりするのに、どうしてずっと一緒にいるんだろう?

 そんな疑問の頂点に君臨するのが、『残念なヨメちゃん!』(桜田麩コウイチ/扶桑社)の主人公夫妻だろう。アメブロのアラフォージャンル1位、累計3千万PVという多数の共感を呼ぶ“結婚生活のフシギ”について、これまでブログに掲載されてきた漫画を厳選し、さらに「なれそめ編」などの描き下ろしを加えて書籍化された1冊だ。

 著者の桜田麩コウイチさんは、本書の刊行から5年ほど前、この本の主役であるヨメ=ミナさんと結婚した。結婚前からコウイチさんが「傍若無人の権化」と評するミナさんは、もちろん結婚してからも、働きたがらず、ソファの上から動かず、隙あらばコウイチさんに仕事も家事も押しつけようとする“残念なヨメ”。本書は、コウイチさん本人ですら「こんなに長く続くとは予想していなかった」と振り返る結婚生活を、夫の目線から“盛りなし”で描いた、切実さ満点の日常系リアルコミックエッセイである。

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■ヨメは、そもそも変わった人らしい!?

 読んでいて笑えるのは、コウイチさんが言うとおりのミナさんの傍若無人ぶり。夫のものはヨメのもの、という某いじめっ子精神をベースに、日々コウイチさんをこき使う。ホワイト企業にさえ馴染めず、ニートになりたがって一日家にいるにもかかわらず、である。

■とにかく「ヨメっぷり」がひどい!

 ミナさんのおもしろさに拍車をかけるのが、夫・コウイチさんとの掛け合い。夫婦なかよく家事分担なんてもってのほか、「やってもらって当然」もここまで来ると、読んでいてすがすがしい気持ちになってしまう。

■なんだかんだで愛し合ってる…?

 描かれているのはヨソのお宅のことなので、ヨメに虐げられ、ストレスフルな生活を送る夫・コウイチさんの日々はただただ笑える。だが、コウイチさんの人権を無視するレベルで好き勝手に振る舞うミナさんに対して、「それはひどすぎる!」「どうしてこんなヨメと別れないのか?」という気持ちにならないのは、「『ヨメを愛してなどいない』なんて言いながら、ホントは好きなんでしょ?」「なんだかんだ言っても気の合う夫婦だよね」と思わせるエピソードも、程よくちょこちょこ混ざっているからだろう。

 シュールに綴られる不条理極まりないエピソードは、ただ読んでいるだけでも笑ってしまうし、生活をともにするパートナーがいる人ならば、しみじみと共感する部分は多いだろう。ケンカしても、理不尽なことを言われても、ひどく心配させられても、なぜか一緒にいるほうがいい──そんな不思議なバランス。本書を読めば、綺麗ごとだけでは終わらない夫婦や家庭の魅力を再発見できる…かもしれない。

文=三田ゆき