銀行員の99%がリストラされる時代到来!? 生き残るために取るべき行動とは?

社会

2019/9/6

『もう銀行はいらない』(上念司/ダイヤモンド社)

 日本の銀行はベンチャーには融資をしないという話をよく耳にする。筆者はベンチャーではないが何年か前、銀行から事業性融資を受けようとした際、どうも違和感を覚えることがあった。結果としてそこで借り入れることはなかったが、別の銀行でカードローンを契約した際に驚いたのは、保証人の役割となる保証会社が消費者金融の名称になっていたことだった。それ以降、日本の銀行では何が起こっているんだろうかと疑問を抱えてきた中で目に入ったのが『もう銀行はいらない』(上念司/ダイヤモンド社)だった。

 本書でも触れているが、日本の銀行のほとんどが今や消費者金融と提携している。筆者のように「安全な銀行のカードローンなら使ってもいい」と思っていたら少し違っていたと驚く人もいると思う。

 冒頭のようにベンチャーなどには進んで貸さないが、何らかの担保や預貯金がある相手には貸すという銀行は多い。つまり、確実に返せるものをはじめから持っている相手にしか貸さないのだ。本書で書いている質屋的な銀行が多いのである。

 中でも怖いと感じたのは、序章でも書かれている「金持ち大家がカモになる」だ。これはまさにその通りで、借家やアパート経営でカモになっている人間が周囲にいるのでシャレにならない。土地だけでなく株式などの資産をたくさん持っている高齢者は担保が豊富で、銀行から見ればいいカモなのだそうだ。しかも、賃貸物件が需要過多になろうが経営面での現実的なアドバイスはないという。また、あくまで所有者は融資を受ける側だから固定資産税や建物の修繕費などは当然ながら大家の負担というのも個人的に怖いと思う。銀行にも相当の返済をしつつ、税金や不動産管理にかかる費用と結構な出費になることは想像がつく。万が一、返済が滞った場合に抵当に入っている建物や土地が差し押さえられても、それまで払った固定資産税や建物の修繕費用などは返ってこない。

 本書の第一章にある「日本のベンチャー投資はゴミのような金額」によれば、2017年のベンチャー企業の資金調達総額は2717億円だったという。これはジャパンベンチャーリサーチ社の調査によるもので、過去最高なのだそうだ。対して全世界のベンチャー企業への投資額を見ると18兆円。銀行からの融資を受けにくい日本のベンチャー企業がどれほど資金繰りに苦労しているかが想像できる数字ではないだろうか。

 上念氏は本書の中で、日本の銀行と銀行員の体質は変わらないと予測している。そこで出てきたのが銀行の9割をなくし、銀行員を99%削減するという考えだ。銀行だけにいえることではないが、人間がいる方が結果的にうまく機能しないものはあると思う。ならば減らしてしまった方が機能的になることが期待できるし、コストも大幅にカットできるのではないだろうか。ネットバンキングの普及も銀行や銀行員の必要性を下げている。筆者もATMの利用は確実に減っているし、銀行に行かなくてもできることの方が増えているのは確かだ。

 銀行は確実に取れるものがない相手には貸さないという徹底した保身に走っていながら、実際にメガバンクのリストラも控えているという異常事態なのが今の日本の銀行だ。「確実に返せる相手だけに貸す」という、堅実な経営のように見えていてその実、自分たちの首を絞めてきたということだろうか。

 本書では「銀行と裏社会」などの他、さまざまな興味深いテーマについても詳しく書かれている。筆者のように経済にはそこまで詳しくない個人が読んでも十分面白い内容だ。もし読者が銀行に勤めているならば、銀行が生き残るために、そしてリストラ対象になったらどうするべきかを考えるときの参考にしてみてはいかがだろう。

文=いしい