意味のない「クソ仕事」はもうすぐなくなる!? 働き方の価値観をひっくり返すニュータイプ

ビジネス

2019/9/6

『ニュータイプの時代』(山口周/ダイヤモンド社)

“「正解を出す力」にもはや価値はない”と謳う帯がひときわ目を引く『ニュータイプの時代』(山口周/ダイヤモンド社)は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて評価されてきた「優秀な人材」像が過去のものとなりつつあり、自由・直感的・わがまま・好奇心の強い人たちが世の中を変えていくと主張する。著者はその新しい人材像を「ニュータイプ」と呼ぶ。

「問題解決の能力」は今後、どんどん低価格化が進み、供給過剰の状況になる一方で、当の「問題」は見つけることが難しくなっています。このような社会にあたっては、「問題を解ける人=オールドタイプ」よりも「問題を発見し、提起できる人=ニュータイプ」こそが評価されることになります。

「問題は見つけるのが難しい」と聞いて、「世の中に問題は山積しているじゃないか!」と待ったをかけたくなった読者の方もいるのではないだろうか。たしかに、ニュータイプ時代にも「問題のようなもの」は変わらずある。しかし、その輪郭がVUCA(不安定さ、不確実さ、複雑さ、曖昧さを示す英単語の頭文字)なため、「こういうことが問題です」と端的に示すことは難しくなるという。つまり、ニュータイプ時代においては「問題を解決すること」を目的に行動してもムダで、直感的に行動していく中でいつの間にか問題が解決されていくようになるというのだ。

 たとえば、著者が格安航空会社ピーチの社長と話した際に「ピーチは何のために存在する会社なのか」と尋ねたところ「戦争をなくすため」という回答を得たそうだ。リーズナブルなフライトで人々が国と国を行き来して、たくさんの国に友達がいるような状態にすることを企業の理想としているのだ。この場合、利益をあげるために会社を経営してあわよくば戦争をなくしたいというわけではなく、「戦争をなくす」という理想に向けて進む中で利益をあげるような経営になる。前者と後者は似ているようで、本質的に大きく異なる。

 何かプロジェクトを遂行するために、多くの許可書類や承認が必要なのがオールドタイプの時代だった。今後は、わからないままひとまず走り始めることが必要で、走る途中で細かいところを調整していくような進め方が理想形になるという。「5W1H」でいうと「WHAT」と「WHY」がより重要で、「HOW」がわからなくても直感とモチベーションで突き進んでいくのがニュータイプ的な働き方ということだ。

 

 著者は現代社会における6つのメガトレンド(社会のメジャーな潮流)の1つに、「クソ仕事の蔓延」を挙げている。「わからないこと」を直感的に進めることが価値を持つようになる社会で、「わかりきったこと」を扱うのはいわば“クソ仕事”であり、それは人や企業、社会において負のサイクルを生み出し、人のモチベーションにも悪影響を及ぼすというのだ。

クソ仕事から人々がどんどん逃げていくことになれば、意味のないクソ仕事しか生み出せない経営者や管理職は立ちいかなくなり、労働市場から排除されることになります。つまり、多くの人がどんどん「逃げる」ことで、社会全体の健全性は高まるということです。

 本書によると「確実に訪れる未来」とされてきた少子化の予測は外れるかもしれないし、「AIに取って代わられる仕事」も何なのかは結局予測しきれないので考えても仕方ないという。ニュータイプはそんな「不確実さ」を、むしろ「おもしろさ」として捉えるのだろう。新時代を生き抜く24の考え方が、本書に凝縮されている。

文=神保慶政