有能なふりをするバカほど困るものはない! 周りに存在する困った人や情報に振り回されない方法

社会

公開日:2019/10/2

『「バカ」を一撃で倒すニッポンの大正解』(髙橋洋一/ビジネス社)

 遂にこの10月から消費税が10%に。どこかで中止にしないだろうかと期待を持ってきたが、決行された。これからどんな影響が出てくるだろうか? そんな増税に限らず、普段流れている情報に疑問を感じない人に読んでほしいのが『「バカ」を一撃で倒すニッポンの大正解』(髙橋洋一/ビジネス社)である。

 消費税を8%にアップするときには駆け込み消費が増え、不動産に車、家電と大物商品が動いた。日用品のように安価のものではなく、どれも数年ぐらいでは買い換えないものだ。バブルのときであれば確かに4年サイクルで車を買い換えるという人は多かったが、もう時代が違う。買いたくても経済的に厳しい、つまり買えない人も相当数いるのが現状だろう。

 著者も本書の第2章で触れているが、はじめて消費税を導入したときを除いて、消費税アップは消費を冷え込ませる要因になったわけで、それによってリストラや倒産に追い込まれた企業は多い。このタイミングで減税に走れば逆に消費が増えて景気が良くなると考えている人も多い中、なぜ中止できないのか? 著者同様、「バカだなあ」と言いたくなってしまう。

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 社会には雰囲気だけで信じてしまう人は多い。「○○な人」というキャラクター作りをしてテレビ番組で売り込んでいくという手法は以前から見られる。例えば「前世が視える霊能者」とか「何でも知っていてわかりやすい説明ができる人」といったキャラだ。素質があって注目される人もいるが、まれにヤラセに近い人もいる。単にバラエティとして見るなら楽しめるが、それで学べている気分になってしまうのは危険なことだと思う。

 情報には嘘も隠れている。発信者が誘導したい目的に沿って情報を流しているということも多い。常に正しい知識を持って聞いたり調べ直したりしないと、そんな思惑にはまってしまうこともあるから油断できない。日本のニュース番組や新聞には主観が多く、発信者の妄想や願望を加えていることもあるから恐ろしい。マスコミが流す情報への注意点については、本書の第4章で解説されている。うっかりしていると、他人の意見を事実と誤解して受け取ってしまうこともあるのだ。

 本書は全部で44の項目を5章に分けて解説している。ここで取り上げたのはごく一部だが、雇用問題や年金、医療や消費税、隣国との問題などニュース番組や新聞などマスコミで取り上げられている内容や社会問題として注目されている「バカの論」と思える内容について、著者が正解を解説していくという流れだ。

 自分で読むのもいいのだが、テレビを中心にマスコミの情報だけを信じている人に読ませてあげるのもいいのではないかと思う。普段いかに情報に操作されているかに気づくきっかけになるのではないだろうか? 操作された情報や印象で偏見を持ったり意見を押し付けたりする迷惑な人にも、効果を発揮できるかもしれない。

文=いしい