“課金”で彼女が手に入る「彼女ガチャ」。それにハマった男たちが見せる、人間の醜さとは

マンガ・アニメ

2019/10/16

『彼女ガチャ』(吉宗/芳文社)

 ソーシャルゲームの普及により広く知られるようになった「ガチャ」という言葉。元々はハンドルをガチャガチャと回して購入するカプセルトイからきているものだが、いまでは、ソーシャルゲームにおいて、キャラクターやアイテムをゲットするために挑戦する“抽選”のことを指し示している。その確率は異なり、出てきたものはN(ノーマル)、R(レア)、SR(スーパーレア)などとランク付けされる。そして、より高ランクのものを求めて課金をするユーザーも珍しくない。

 そんな「ガチャ」をモチーフにしており、コミックス発売前から話題を集めていたマンガがある。それが『彼女ガチャ』(吉宗/芳文社)だ。

 本作は、彼女を求める男性たちが、1回5万円の「ガチャ」を回し、理想の女性を手に入れようとするオムニバス形式の物語だ。

 たとえば、第一話の主人公となるのは、オタク気質のモテない男性。街コンに参加しても、気になる女性はリア充たちにとられてしまう。結局、自分はモテないのだ。そうやさぐれていたときに、ケータイに一通のメッセージが届く。

【彼女ガチャについてのご案内】
このメールは選ばれた方にだけお送りしています。

真剣な交際を行いたいあなた。
本当のあなたを理解してくれる女性を探しているあなた。

彼女ガチャでそんな彼女を手に入れませんか?
どんな子と付き合うかは、あなたの運と実力次第!

 突然送られてきた不可解なメール。しかし彼は、胡散臭さを感じつつも、指定された場所へと向かう。そこで目にしたのは、巨大なガチャの機械。中には、カプセルに入れられた複数の女性たち。5万円を支払えば、そのなかのひとりが手に入るという……。

 本作に登場する男性たちは、みんなさまざまな事情から「ガチャ」にチャレンジする。Nランクの女性を引き当てる者もいれば、最初からRランクの女性をゲットする者も。しかも、彼女たちはみな、男性に好意を持ってくれているという設定。カプセルを開けた瞬間から、彼女ができるという仕組みなのだ。

 ところが、そこから男性たちの欲望が露わになってくる。モテ期が到来したと勘違いし、もっと良い子を手に入れようと躍起になったり、これまでの鬱憤をぶつけたり……。所詮、人間関係は「ガチャ」で手に入れられるものではない。「彼女ガチャ」で出会った女性とどんな関係を築くかは、その人次第なのだ。そして、そこに人間の本質が表れてくるのである。

 ファンタスティックな設定を活かし、人間の欲望や醜い部分を描こうとする本作。女性を「ガチャ」で選ぶという内容は若干ゲスいものの、意外にも女性読者にも好評だという。毎話、先が読めない展開のため、「自分だったらどうするか」と考えさせられるのも、読み応えにつながっているのだろう。

 課金すればいくらでも回せる「ガチャ」。それは希薄になりつつある現代の人間関係を風刺しているようでもある。本作を読んで、あらためて周囲の人物との付き合い方について考えてみたいところだ。

文=五十嵐 大

【試し読み】「1回5万円。出てくる女性とどう関係を築くかはあなた次第!」『彼女ガチャ』①