検索はタダなのにGoogleが儲かるワケは? GAFAの秘密を図解でスピード理解!

ビジネス

公開日:2019/11/29

『超図解 世界最強4大企業GAFA 「強さの秘密」が1時間でわかる本』(中野明/学研プラス)

 2兆9753憶ドル――。この途方もない金額は、今や国家をも上回る影響力を持つといわれるIT企業GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の時価総額の合計だ。日本円に換算すると315兆円…といえば、少しは想像つきやすいだろうか。日本の国家予算は101兆円(2019年度)だから、その3倍を超える額である。

▲本書pp.2~3

 私たちは、日々このGAFAのサービスを利用しながら生活している。だが、手のひらの中にあるスマートフォンから、世界につながる彼らのスケールを実感することは意外とむずかしい。便利だけど、どこか得体が知れない…。

 そんなGAFAの実態は、近年GAFAに関する書籍や企画記事が次々と発表される中で、徐々に市井の人々にも知られるようになってきた。本稿で紹介する『超図解 世界最強4大企業GAFA 「強さの秘密」が1時間でわかる本』(中野明/学研プラス)は、その中でももっともわかりやすい「入門書」に当たるもの。図解が豊富なので、要点を素早く把握したり、人に話したり説明したりする際の参考としてもスピーディーに私たちの要望に応えてくれる内容だ。

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■検索はタダなのに、Googleはなぜ「儲かる」のか?

 まず、Googleの強さの秘密を見てみよう。Googleには、Google マップ、YouTube、Gmailなど誰もが知っているサービスがいくつもある。だが、私たちが直接Googleにお金を払う機会はあまりない。タダで検索し、タダで動画を見て、タダでメールを送受信している…。それなのに、なぜ年間約80兆円もの時価総額を達成できるのだろうか。

▲本書p.39

 その答えはズバリ、広告である。特に、検索サービスと広告の相性は絶大で、Googleの高い利益率の源泉になっている。ユーザーが検索窓に入力する言葉は、自分がほしいものや、興味のあることだ。広告を載せるメディア(媒体)という視点でみたとき、検索というサービスは、ユーザーが勝手にニーズを教えてくれる“魔法の箱”なのである。Googleは、ユーザーが入力する「検索キーワード」に対して、手ごろな費用で広告が出稿できる仕組みを作り、そこで莫大な利益を上げている。

▲本書p.43

■Amazonの利益率を向上させたある「奇策」とは?

 GAFAの4つ目のA――Amazonは、ネット通販の分野以外でも年々存在感を増している。だが、Amazonの利益の大半はネット通販から生まれていると考えている人も多いのではないだろうか。

▲本書p.145

 だが、実態はAmazonを一般に利用している私たちのイメージとは大きく異なる。2018年のAmazonの営業利益は、124憶ドルだ。しかし、このうちネット通販による利益は、わずか41.3%に過ぎない。残りの58.7%は「アマゾン・ウェブ・サービス(通称AWS)」によるもの。AWSとは、Amazonが自社EC用に構築したサーバーシステムを他の企業に貸し出すサービスである。Amazonは、自社のインフラを他企業に貸し出し、固定費を圧縮しながら高い利益を生み出す「奇策」によって成長してきたのだ。

 本書を通して読めば、ここで紹介した2社以外も含めてGAFA4社の実力や戦略、マネーなどの基本事項を、図解などをベースに比較しながら把握することができる。

▲本書p.33

 圧倒的な規模を誇るGAFAの話は、どこか遠いことに思えるかもしれない。だが、GAFAのビジネスにおける考え方や、収益を上げる仕組みについて知ることは、あらゆる業界でヒントになるはずだ。それに、実際にGoogleの広告やAmazonのマーケットプレイスを利用することは、ビジネスとして一般的になりつつある。本書を通じて、GAFAの存在が少しでも身近なものになれば幸いである。

 明快な図解で簡潔にまとめられた本書の解説は、忙しいビジネスパーソンにとって心強い味方となるだろう。最新知識を短時間でスピード理解しておけば、会議や営業の際のプレゼンはもちろん、年末パーティのトークネタとしても便利に使えるはずだ。

文=中川凌