「これでも好きにならんのか!」僕と彼女は「体だけの関係」…少年とおねえさん吸血鬼のよふかしストーリー
更新日:2019/12/8

真夜中のボーイ・ミーツ・ガールストーリー『よふかしのうた』(コトヤマ/小学館)の1巻が発売された。
不登校かつ不眠の少年、コウの前に美人のおねえさん吸血鬼、ナズナが現れる。「お前、眠れないんじゃないか? 少年」ふたりは夜ふかしを楽しみだす。
■少年が吸血鬼に恋をするためのお話
恋に焦がれて夜も眠れなくなると言われるが、本作は主人公の中学生、夜守コウが吸血鬼、七草ナズナに恋をするために夜ふかしをする物語だ。
ある夜、コウの前にナズナが現れる。彼女はコウの手を取って散歩し、夜の世界を紹介し、自宅へいざなう。そして眠りたいなら一緒にふとんへ入れと言う。
えっちな展開? などと半信半疑のコウは、寝たふりをする。するとナズナの様子が一変。コウの首に食らいついた。
ナズナは吸血鬼だった。コウは自分に何の変化もないことを不思議に思う。血を吸われたのに特別変わったところがなかったのだ。
実は“条件”を満たさないと、吸血鬼の眷属(吸血鬼化)にはならない。それは「吸血鬼に恋をすること」だった(正しくは恋をした吸血鬼に血を吸われること)。
“夜ふかしが楽しい”という価値観を知ったコウは、夜の住人になりたいと決意。そこでナズナに頼むのだ。
「俺を吸血鬼にしてください。俺に恋をさせてください。」
コウの血がめちゃめちゃ美味だというナズナ。ナズナに恋をしたいコウ。こうしてふたりは夜を共にするようになる。
■純情なふたりの不純な関係
夜が舞台であるからにして、基本的にはダークな雰囲気である。それでもテンポの良さと、ちょっと間の抜けた空気感は前作『だがしかし』(小学館)と同様で、肩の力を抜いて楽しめるだろう。
本作の魅力は何よりコトヤマ氏が描くキャラクターだ。
コウは学校に行かず、体力を持て余しているために眠れない(と思っている)。度胸はあるようだが、一言で言えばウブである。なぜなら、ナズナが連発する下ネタの意味はわかっても、女性を好きになるということがどういうことか、わからないのである。
露出の高い服装で、おまけに美人。そんなおねえさんに簡単に惚れないのだ(惚れた時点で物語が完結してしまうかもしれないが)。まずはナズナになついているようだ。
そのナズナはコウを子供扱いしてからかう。当然コウより相当おねえさんのはずなのだが、たまにスネる様子もみせる。ミステリアスだがかわいらしい吸血鬼だ。
“まぐわい”などと卑猥な単語を口にし、コウには下ネタ好きと思われている。だが一方で“恋”“好き”という単語に赤面し過剰に反応、コウが首筋をみせただけで、大照れする。この吸血鬼、妙に純情なのだ。
ナズナ曰く「所詮体だけの関係」というコウの血が「すげー美味い」らしく、今日も今日とて彼の血を吸う。彼女については、心理面を含めて説明はまだ少なく、謎が多い。
ウブな少年と純情な吸血鬼とのラブコメ未満ストーリー、夜に恋がはじまる…のかはまだ、わからない。
■「体だけの関係」からお友達として
1巻の時点では、恋らしい恋の盛り上がりはみせていない。これはひとえにコウが“ませていない”からだ。
男性読者諸君は「えっ、こんな美人のおねえさんにあんなことやこんなことされたら、惚れてまうやろ!」と考えるだろう。ただコウは、夜という新しい世界を教えてもらったことだけで、そして本音を話せる友達ができたことだけでうれしいのだ。ふたりは夜ふかしをし、夜遊びを楽しむ。
ふたりしかいなかった夜に、コウの幼馴染である朝井アキラが加わる。これがいわゆる三角関係になっていくのか、興味は尽きない。
1巻のラストで「これでも好きにならんのか!」と思う方も多いだろうと思う。いやまあ夜と同じでまだまだ先は長いと考えよう。ふたりはこれからなのである。まずはしばらく、夜の不純で純情な友達関係を見守ろうではないか。
文=古林恭
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