最愛のペットが「生まれ変わって」会いに来てくれたら……。愛犬を失った男と風変わりな少年が織りなす奇跡に号泣必至

マンガ・アニメ

2019/12/16

『コロとちーちゃん』(みなりふうりん/芳文社)

 小学生の頃、ハムスターを飼っていたことがある。まるで弟か妹ができたみたいにうれしくて、ひとりっ子だったぼくは目いっぱいの愛情を注いだ。夜中、回し車で一生懸命走っている姿がかわいらしくて、眠たい目をこすりながらもその様子を眺め続けた。そのうち懐いてくれて、ぼくがケージを覗き込むと寄ってくるようにもなった。

 けれど、そんな日々はあっという間に終わってしまった。はじめて出会った日から1年半後、ハムスターは動かなくなってしまったのだ。冷たくなった体に触れ、ぼくはペットを失うことの悲しさを知った。愛情を注いでいたものが、この世から消えてしまう。その悲しみは、二度と味わいたくない。

『コロとちーちゃん』(みなりふうりん/芳文社)を読んでいて、当時のことを思い出した。

 本作の主人公は、28歳の社会人・吉田千悠(よしだ・ちはる)。彼は10年前に愛犬のコテツを亡くし、その喪失感をいまだに忘れられないでいる人物だ。

 そんな千悠のもとに、ある日、「コロ」と名乗る少年がやってくる。

“コロのこと飼って”

 突然の珍客の申し出に、なかばパニックになる千悠。よくよく見てみると、少年にはまるで犬の耳のようなものが生えている。この謎の生物は一体……? 詳しく訳を訊いてみると、コロの正体は犬だという。そして、どうしても千悠に「飼ってもらいたい」らしい。

 けれど、千悠は一歩踏み出せない。コロが謎の生物だから、ではなく、愛犬を失った過去が彼を縛り付けているのだ。もう悲しい想いはしたくない。千悠はコロと暮らすことを拒否する。

 本作は、そんな千悠とコロの出会いから幕を開け、次第にふたりが家族になっていく様子を描くハートフルなマンガだ。過去を引きずる千悠も、コロの愛らしさに心動かされ、少しずつ傷を癒やしていく。その過程は、新米飼い主とペットが徐々に家族になっていくさまに重なる。

 しかし、本作の真骨頂は、第1巻のラストで明かされる事実に凝縮されている。どうしてコロは千悠のもとにやってきたのか。そして、どうして千悠に「飼ってもらいたい」と願うのか。それは、コロがコテツの生まれ変わりだったから。それが明らかになるワンシーンを見たとき、思わず号泣してしまった。

 生まれ変わって、また会いに来てほしい。これはペットを失ったことがある人ならば、きっと誰もが願うことではないだろうか。けれど、実際にそんな奇跡が起こるなんてあり得ない。頭ではそう理解しているからこそ、千悠のもとを訪れたコロの姿から、なによりも深い愛情を感じ取ってしまう。コテツは千悠と過ごした日々が楽しかったのだ。だからこそ、こうしてまた会いに来てくれた。ぼくはこのエピソードをマンガだと笑い飛ばすことができず、想像以上に感情移入してしまった。

 奇跡が舞い降り、再びはじまったふたりの日々。コロはいかにして千悠に恩返しをするのか。そして、ふたりはずっと一緒にいられるのか。悲しい終わりが訪れないことを願いながら、本作を結末まで追いかけていきたい。

文=五十嵐 大

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