イチャラブで幸せな恋と愛の理想がここに! Twitterで話題の、婚約中同棲カップルを描いた『恋が夫婦になる前に』

マンガ・アニメ

2020/1/22

『恋が夫婦になる前に』(にいち/KADOKAWA)

 とにかくいちゃつくカップルマンガを読んでほっこりしたい! キュンキュンしたい! という方におすすめなのが『恋が夫婦になる前に』(にいち/KADOKAWA)。Twitterのフォロワー数40万人以上を誇る(2020年1月現在)著者がWEBで発表した、同棲カップル・真紀と哲也の日常を描いたマンガに描きおろしをくわえたもの。いくら仲がよくても関係のマンネリ化は否めず、真紀がやや不安に思っている交際4年目の日に、「今日は0周年記念日」と満を持して哲也からのプロポーズ。そのセリフやベストだったタイミングを含めて、カップルの理想がぎゅんぎゅんに詰まっている作品である。

 人間の表裏ある感情が垣間見えるドロドロした作品も刺激があって楽しいが、深刻なケンカの決して起きない、ほのぼのした空気に触れたくなるのは、やはり多くの人が日々を穏やかに暮らしたい、と願っているからだと思う。愚痴や文句の飛びかう会話より、自慢やマウンティングではない純粋な惚気話を聞いて幸せのおすそわけをもらったほうが、現実でも楽しいひとときが過ごせるもの。そしてその幸せを培うために必要なものはなにかをこの作品は教えてくれる。

 お互いのことがだいたい知れて、新発見もそんなになくなってきたかな、というタイミングでちゃんとプロポーズできる哲也の空気を読めるところ、というか「あなたとの将来をちゃんと考えています」と具体的に示すことのできる行動力はもちろん必要だが、大切なのはそれよりもっと手前、日常でほんの少し気持ちが乱れるときのことだ。

 どんな人間でも、機嫌が悪かったりテンションが落ちたりする日はある。哲也のそれをすぐに察する真紀のすごさは、鋭い洞察力ではなく、相手に干渉しすぎず笑って不機嫌を受け止めてくれること、そして夜遅くてもおいしいクッキーでも焼いて不運を帳消しにしようと提案できる、発想力。とっても大事だ。そんな彼女の気遣いと優しさに救われているから、哲也も真紀がどんなドジをしても馬鹿にすることなく笑って受け止められる。さらに見習いたいと思うのは、二人とも「言うべきこと」と「いま言わなくていいこと」をちゃんと見極めていることだ。相手のことを本当に考えていなければ、できない芸当だと思う。

 二人のいちゃつきを読んでいると、にやにやすると同時に、思いやりと優しさってちゃんと言動に示せば循環していくんだなあ、自分も大切な人とこういう関係でありたいなあ、と我が身をふりかえりつつ憧れる。

〈同じことを繰り返す内に刺激が無くなって少しずつ色あせてしまうんじゃないか〉。プロポーズされる前の真紀が抱いていた不安は、関係の倦怠感、つまりお互いから「好き」の気持ちが失われてしまうことだ。どんな幸せだっていつかは慣れる。けれど、相手がそばにいてくれて、好きでいてくれる日々に慣れて、おざなりにすることさえなければ、想い合う関係の最大値をきっと更新していけるはず。そんな二人のひとときに、いつまでも浸っていたくなる良質な惚気マンガである。

文=立花もも