50歳独身、彼女も友達もゼロの「ヒロシ」が今大注目を浴びる理由。絶望せずにひとりで生きる術

エンタメ

2020/1/23

ひとりで生きていく

著:
出版社:
廣済堂出版
発売日:
『ひとりで生きていく』(ヒロシ/廣済堂出版)

 近年では小学生の「将来なりたい職業」ランキングでも上位に食い込む「YouTuber(ユーチューバー)」。動画共有サイトYouTube上で、自身で制作した動画を公開し、再生回数を稼ぐことで広告収入などを得ている人やグループだ。今、注目されているYouTuberのひとりが、ヒロシである。彼は2003~2008年ごろに自虐ネタでブレイクし、お笑い芸人としてテレビなどメディアに引っ張りだこであった。そして現在、ソロキャンプYouTuberとして再び注目を集めている。
 
 2015年に始めたYouTube番組「ヒロシちゃんねる」のチャンネル登録者数は、現在59万人超。テレビというメディアからいったん距離を置き、“ソロキャンプ”という趣味に磨きをかけて新しいタネを蒔いた彼は、第2次ヒロシブームを起こしている。50歳独身、彼女なし、友達ゼロ。新たな活躍の場でイキイキと輝く彼に「群れない、媚びない、期待しない」生き方を学べるのが、『ひとりで生きていく』(ヒロシ/廣済堂出版)だ。

“そもそも友人関係が絶対的なものだと考えること自体が間違っているのだ。今日、いくら親しくしていても、明日どうなるかなんてわからない。僕は人間関係の全般をこう考えるようになった。”

 ヒロシは「昨日は友でも今日は他人」という経験を、小学生時代から何度もしてきたという。人間関係は絶対的なものではなく、強いつながりを信じることは危険である、と彼は語る。他人に勝手に期待して、勝手に絶望する結果になりかねないからだ。

 とはいいつつもやはりモテたい気持ちはあるので、もしきれいな女優さんから告白されたら即結婚するつもりだという。たとえ離婚することになったとしても、一瞬でもハッピーになれればいい…なぜなら、人間関係は常に流れていくものだからだ。

 そして、ひとり旅で出会う人々のように、ヒロシは丁寧でフェアな態度ですべての人と接したいと語る。時には誰かと一緒にいたいこともある。そんなときには、共通の趣味と話題を通じた“ゆるい人間関係”を築いていけば、ひとりで生きるには十分であるというのだ。

“今の時代は昔よりも選択肢の幅が広くなってきた。「人生が詰んでしまった」と嘆く必要もないぐらい、いろんな逃げ道がある。”

 お茶の間ではブームが去り、「終わった芸人」だと思われていたヒロシ。そんな境遇を嘆く前に、自分のことを惨めに思わないような環境作りを始めていたのだ。

 彼はたくさんのタネを同時に蒔くことをすすめている。ひとつのタネを蒔いて熱心に育てようとしても、咲かないかもしれない。しかし、たくさんのタネがあれば、ひとつくらいは芽が出るものだ。ヒロシにとってはそれが、“ソロキャンプYouTuber”という道だった。

 あとは、そこに集中して水を与えて、丁寧に育てていけばいいのだ。多くの選択肢があれば、世間のニーズと合致する可能性も秘められている。その結果、一度失敗して逃げ込んだ先で咲くことも不可能じゃなくなるのだ。

 現代日本では、これからも独身者が増え続けるだろう。他人の芝生は青く見えるもので、「人並みの人生」を送れていないのではと不安を覚えてしまうこともある。しかし、そんな同調圧力を感じるとしたら、環境が合っていないからではとヒロシは問いかける。周囲と違っていても、世間体にとらわれず、自分らしく自由に、生きるべきなのだ。

 彼こそ、ひとり者にとっての新しい救世主、ヒーローなのかもしれない。第2のヒロシブームは始まったばかりだ。

文=細川佳奈

この記事で紹介した書籍ほか

ひとりで生きていく

著:
出版社:
廣済堂出版
発売日:
ISBN:
9784331522622