AIによるマッチングや「遺伝子婚活」も!? 1兆円市場の裏側を暴露。婚活情報サイト運営者が明かす「婚活ビジネス急成長のカラクリ」

恋愛・結婚

2020/2/7

『[婚活ビジネス]急成長のカラクリ』(有薗隼人/扶桑社)

「合コンでの出会いは、もうコスパが悪いよ」

 婚活中の友人がふと漏らしたひと言を聞いて、バツイチの筆者は自身が結婚した7年前と現在では出会いの形が変わってきていることを強く実感した。

 婚活アプリや街コン、相席居酒屋など、現代には結婚相手を無限に探し続けられる仕組みが多数存在しており、「婚活」という言葉自体もネガティブに受け取られにくくなってきた。一体どうしてこんなにも婚活業界が盛り上がってきたのか。そのカラクリをひもといているのが『[婚活ビジネス]急成長のカラクリ』(有薗隼人/扶桑社)だ。

 著者の有薗さんは婚活情報サイト「ミラコロ」の運営者。実際にサイトを運営してみて有薗さんが感じたのは、婚活事業はおもしろく、儲かるという事実だったという。

 本書は結婚相談所や婚活パーティー、婚活アプリの会社だけでなく、利用者にも取材を行い、婚活ビジネスのカラクリを解明。この1冊には、私たちが知らない真実が詰め込まれている。

■婚活アプリが急成長した“カラクリ”とは――

 このところ、婚活産業は目覚ましい成長を遂げているが、その背景には婚活アプリの急速な普及が大きく関係しているのだそう。その証拠に、2019年10月時点でリリースされている婚活アプリはなんと200以上にものぼるという。

 かつてインターネット上でのマッチングといえば、「出会い系」と捉えられることが多く、ネガティブな印象を持たれやすかった。しかし、今では女子会でごく自然に婚活アプリの話題がのぼるほど、身近なものになっている。

 なぜこれほどまでに婚活アプリが受け入れられるようになったのか。その理由として有薗さんは、政府が「地域少子化対策重点推進交付金」として婚活に対して予算を捻出したことが大きく関係していると指摘。これにより、2013年を境に多くの上場企業が婚活業界への参入を表明。身分証の提出を義務付けたり、明瞭な月額制をとったりすることでサービスに対する信頼を向上させてきた。

 そうした企業努力や政府が介入したという事実により、婚活に対する“怪しいイメージ”が薄れ、ビジネスとして成り立つようになったのだ。

 さらに、SNSが日常に深く浸透してきたことも婚活アプリが普及する要因に。ネット上での顔だしに抵抗感を持つ人が少なくなったことで、婚活アプリという形態が受け入れられやすくなったのだ。

 また、起業側から見ると「婚活は儲かる」というビジネス的なおいしさがあることも急成長に関係がある。例えば、結婚相談所は個人で開業可能。全国に4000社ほどある結婚相談所は、そのほとんどが大手企業とフランチャイズ契約をしているのだそう。契約をかわすと、大手企業が保有する会員データベースに直接アクセスすることが可能になり、元手もそれほど莫大ではないため個人でも開業が容易なのだという。

 価値観や好みが合う人と出会いたいという利用者の願いを叶えつつ、ビジネスとしても十分成り立っている「婚活」という産業は今後も、私たちの想像を超える成長をしていきそうだ。

■将来的には「遺伝子婚活」ができるようになるかも…?

 近年、各業界で話題になっているのが、AI。AIは今後、婚活産業でも活躍するのではないかと期待が高まっている。有薗さんいわく、現在、婚活アプリに導入されているAIはデータをもとに適したデータを持つ人を探しているだけにすぎず、理想の相手を判断できるわけではないよう。しかし、AI導入を売りにしたアプリが競うように開発されているため、先入観がないマッチングが実現するのも時間の問題かもしれない。

 そんな有薗さんが個人的に注目しているのは、2018年にスイスで考案された「遺伝子婚活」というユニークな婚活法。これは事前に行った遺伝子検査をもとに、相性の良さが0~100の数値ではじき出されるというもの。

 人と人の出会いの常識は日進月歩。数年後には、こうした婚活法が日本でも取り入れられ、遺伝子レベルで相性がいい人と巡り合えるという、ちょっぴりロマンチックな体験が当たり前になるかもしれない。そう考えると、婚活ビジネスの裏には儲けという旨味だけでなく、たくさんの夢も詰まっているように思えてくる。

 なお、本書には実際にあった婚活トラブルの事例や、婚活で失敗した男女にあった共通点も詳しく解説されているので、そちらも要チェック。

 大切な人生のパートナー探しを担ってくれる、婚活ビジネス。その裏には、私たちが知らないユニークなカラクリがある。

文=古川諭香