股間をガン見、骨折なのに“打ち身”と誤診…読者投稿によるヤブ医者体験談がズラリ!

暮らし

更新日:2020/4/9

『通院するたびに寿命を削られてます』(安斎かなえ/竹書房)

 新型コロナウイルス関連のニュースが連日報道される中、医療現場の負担も伝えられるようになってきた。生命や健康を守るべく、多くの場合、医療スタッフは患者のために必死で活動しているのだ。しかし、である。ごく稀にではあるのだろうが、やはり「不誠実」な医療従事者というものも存在するようだ。『通院するたびに寿命を削られてます』(安斎かなえ/竹書房)は、そういったものに出会ってしまった痛いエピソードが、漫画で面白おかしく描かれている。

 最初に指摘しておきたいのは、各エピソードが基本的に「読者による投稿」であるということ。そのため信憑性に関しては各々の判断に任せたいところだが、作者の安斎かなえ氏は元ナースであることから、ネタは作者の目から見て「本当っぽいもの」を選んでいると考えられる。医者や看護師だって人だ。ゆえに「まあ、こういうこともあるのかも」と捉えるのがちょうどよいかもしれない。そんなワケで、収録されたエピソードの中で気になったものを紹介していこう。

ヤブ医者にご用心!

  本書では多くのヤブ医者が登場する。例えばバイク事故を起こした患者が「打ち身」と診断されたが、あまりに痛いので別の病院に行ったところ「あばら骨5本骨折」だったことが判明したエピソード。他にはなんだかよく分からない薬を注射しようと迫る「マッドサイエンティスト」っぽい医者なんかも登場。しかし、強調したいのはそこではない。こういう「ヤブ医者」情報は多くの場合、他の病院が共有しているようなのである。上記のエピソードでも、他の病院へ行ったときに「あそこはヤブだから」みたいなことをいわれたとか。「悪事千里を走る」というが、そういう「ヤブ医者」情報はぜひ一般にも広めていただきたいものである。

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ドクターハラスメント許すまじ!

 世間にはいろいろな「ハラスメント」があるが、医者による「ドクターハラスメント」もそのひとつ。ドクハラにはさまざまなケースがあり、本書では主に「セクハラ型」を取り上げている。例えば子供の頃、医者に胸をやたらと「触診」された女性。しかし、そこはなんと「眼科」であったという……。また、とある大病院で入浴時に、なぜか脱衣場で3人のおばさんナースが待機していたという。しかも明らかに、男性患者たちの「股間」をガン見していた模様。こういう精神的ダメージを患者に与える行為も当然、ドクハラである。「医は仁術」というように、医者ならば己の欲得ではなく、大いなる仁愛をもって患者に接してほしいものだ。

 実は私の父親は医療関係者であり、私自身もお医者様がたにはよくお世話になったのだが、いずれの先生も優れた人格者であった。なので医者のトンデモ話は、にわかに信じがたいところがある。まあそれでも先述した通り、本書のエピソードはあくまで読者投稿であり、漫画としては非常によいデキなのである。とりあえずひとつだけいえるのは、私がこれまで大病もせずに生きてこられたのは、お世話になった先生がたのおかげだということ。信頼できる医者に巡りあえるということは、実は非常にラッキーなことなのかもしれない。

文=木谷誠