自分のチャンスはどこにある? 受付で働きながら1億以上の大金を手にした女性

ビジネス

2020/3/26

『1%の努力』(ひろゆき/ダイヤモンド社)

 世の中、努力だけではどうにもできないことがある。自分は受験勉強をしながら、東大には入れなそうだと実感したとき、強くそう感じたことをよく覚えている。この考えは、社会人になった今でも自分の根底にある。私たちの人生は、“コントロール不可能な要素”に大きく左右されているのだ。生まれもった容姿や才能、親の年収や住んでいる場所…。自分の手元に配られたカードで、できることをやるしかない。そう考える筆者にとって、『1%の努力』(ひろゆき/ダイヤモンド社)は深く共鳴できる1冊だった。
 
 著者のひろゆき氏は、「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」の開設で広く知られている。はたから見ればいかにもビジネス本を多く出版していそうな成功者に思えるが、本書の語り口は一般的に想像する他の成功者たちとは大きく異なる。ひろゆき氏は、努力を過大評価しない。例えば、自身の成功の要因について振り返るとき、強調するのは次の2点だ。

「片手を空けてチャンスを待つ」
「たまたま、そこにいたからうまくいった」

 正直、この部分だけ聞いても「?」と訝しがるだろう。だが、このフレーズにはひろゆき氏の考え方の根本が詰まっているので、本稿ではこの内容を深掘りしたい。

「頑張ればなんとかなるかも…」は危険?

 いつもスケジュールがパンパンの人がいる。「頑張ってるんだからいいじゃないか」と思うかもしれないが、危険な側面もあるという。人生を大きく変えるチャンスは、前触れなく突然訪れる。生活にあまり余裕がないと、そのチャンスを逃しかねない。起業の誘いや、運命の人と出会い、目的なく参加した飲み会が、大きなチャンスのきっかけになるかもしれないのだ。
 
 だから、著者は「片手はつねに空けておけ」と語る。ひろゆき氏自身、働きすぎることはなく、ときどき「おもしろいな」と思ったビジネスに投資したりしているという。その余裕が次の新しい世界への扉を開くのだ。

1億5000万円の受付嬢が示すこと

 自分はどこで戦えばいいのか? 次は「ポジション」の話だ。著者が例として挙げているのが、「1億5000万円の受付嬢」。GoogleがYouTubeを買収した際、YouTubeに勤め自社株を持っていた受付の女性は1億5000万円を手に入れた。彼女が特別に優秀だったわけではなく、「ただそこにいた」から入手できたのだ。この例は極端かもしれないが、「どこにいるか」によってその人の価値が決まってしまうことは往々にしてある。

 社会人の給料は“業界”によって決まる、ということも聞いたことがあるだろう。「ポジション」の話は、ある意味で社会の不合理の表れでもある。だが、「世の中そういうもんだ」と認識し、自分のポジションをその場その場で選び取ることができる人は、しぶとく生き残ることができるだろう。

 本書では他にも、「場所があれば、人は動きはじめる」「頑張りは人に押し付けない」「この1週間で『新しいこと』はあっただろうか?」など、“1%の努力”を続けるために必要な考え方を数々紹介する。“100%の努力”で成功した人など、きっとどこにもいない。自分は何が得意なのか、どんなポジションなら自分を生かせるのか――努力だけではどうにもできない部分を意識することができる人が、“成功する確率”を上げるのだろう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7