大好きな夫を四六時中襲いたくなる嫁の暴走に共感する読者が続出!? LINEマンガで人気急上昇中の2作とは

　近年、“押し倒す系女子”のマンガが増えているような気がする。そして、そういうマンガを支持する読者には女性が多く、作者自身も女性である場合も少なくない。LINEマンガで人気の『性欲の強すぎる嫁に困ってます。』（saku）にもまた「うちと同じ」「自分を見ているよう」という声が寄せられているのを見ると、“押し倒す系女子”は決して男性のファンタジーではなく、現実にも存在する“夫／彼氏が大好きでたまらない女子”なのだろうなあ、と思う。

“好き”があふれ出して隙あらば襲ってしまう!!

　同作のタイトルである「嫁」は、「彼女」「婚約者」に続くシリーズ3作目の新作。付き合って3年、2年の同棲を経て晴れて夫婦となった二人の、あいかわらずイチャイチャしどおしな日々を描いた4コマだ。タイトルどおり、嫁のほうが情熱的すぎて、それほど体力があるわけではない夫は、隙あらば襲われるので困っている、という話。

　夫婦になっても二人で出かければデート気分でうきうきするとか、出かけるときにさりげなく寒さを気遣ってくれた夫にキュンキュンしちゃうとか、日常でも新婚旅行先のハワイでもどうすれば自分が喜ぶかを考えて行動してくれるのが嬉しすぎるとか。結婚しても愛情と性欲が褪せないのは、夫が決して自分をぞんざいには扱わないから。だから、“好き”が溢れだして襲いたくなってしまうのだ、という構図が確立しているところが人気の秘密じゃないかと思う。性欲とは、ただの欲望ではなく、言葉じゃ伝えきれないほどの愛情だから。

　事実、嫁のほうも夫を襲うとき、相手を気持ちよくさせたいという想いがなにより優先されている。まあ、学生時代ならいざしらず、まいにち働いて疲れているのに夜ごと求められても困るよね……休日は寝ていたいよね……とは思うし、嫁の性欲がからまわりして、夫にやんわり断られることも多いのだけど。

「男の娘(こ)」の先輩を好きになったら2倍オイシイ…？

　それとは対照的に、なかなか好きなものを好きとはいえない少年の葛藤を描いているのが『先輩はおとこのこ』（ぽむ）。連載開始して早々、LINEマンガで人気急上昇の作品だ。

　タイトルから察せられるとおり、先輩は「男の娘（こ）」。かわいいものが大好きで、学校には女装して通っているが、一見しただけでは誰も男子と見破れない。そんな先輩＝花岡まことに、女子と勘違いしたまま告白してきたのが、後輩の蒼井咲。

　もちろんまことは、その場で自分が男子であることを明かすのだけど、この咲という少女、なかなか（いい意味で）クレイジー。「つまり男バージョンの先輩と女バージョンの先輩をたのしめるってことですか!?!?」とショックを受けるどころか歓喜して、「先輩の初恋の人になってみせる！」とぐいぐい迫る。そんな彼女と、友達のような関係を続けるうちに、封印していた自分の嗜好を少しずつ解放していくまことなのだけれど、そんな彼を受け入れられない母親との衝突によって、再び殻に閉じこもっていってしまう……。

　好きなものを思うままに好きと伝えられる幸せ。それを押し込めて諦めなければならない苦悩。対照的に描き出したこの2作、あなたはどっちがお好みだろうか？

文＝立花もも