病は突然ではない。「負の積み重ね」がとんでもない事態に!『40歳からの健康年表』

健康・美容

2020/5/8

『40歳からの健康年表』(荒井秀典/文藝春秋)

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思います」とは、野球界のレジェンド、イチロー氏が残した名言。これはイチロー氏のような偉業とは逆に、マイナスな事象でも同じことがいえる。

 最もわかりやすいのは「健康」だ。病の多くは突然、発生するものではない。長期にわたる小さな不摂生や無理、不調の放置が、いつか大きな病として自らを襲ってくる。一見、突発的事故に思えるような怪我の類いも、長年にわたる運動不足や筋力の衰えを放置していたことが遠因になっていることもあるはずだ。そんな「負の積み重ね」が「とんでもない」事態になったり、如実に体力や気力でカバーできなくなってくるのが40歳代からである。

 だからこそ、病で苦労したくなければ、今からでも遅くないので「負」ではなく「正」の小さな積み重ねを始めたい。しかし、これまで健康に関心を向けてこなかった身からすれば、何をどうしたらいいのか? 自分にはどのような危険が迫っているのかすらわからない。

 そんなとき、指針になってくれそうなのが『40歳からの健康年表』(荒井秀典/文藝春秋)である。タイトル通り、編集の妙となっているのは「年表」。病気ごとではなく、40歳代から80歳代まで、10歳区切りで、その年代が発症しやすい病気がまとめられ、その内容、初期症状や対策などが簡潔にまとめられている。自分の年齢に合った病気の危険性を一気に把握できるのはもちろん、その先に待つ病気も知ることができるので、予防にも役立つ。言ってみれば老いていく人間が健康で過ごせるための道しるべ。ナビゲーションのような一冊だ。

 簡潔にまとめられている分、網羅性は高い。高血圧や糖尿病、心筋梗塞などポピュラーな病気はもちろん、眼瞼下垂(40歳代)、加齢黄斑変性(50歳代)、オーラルフレイル(60歳代)、アミロイド・アンギオパチー(70歳代)など、病気と無縁の生活をしている人(あるいは「病気や不調から目をそらしている」人)であれば、あまり耳にしたことがない病気もカバー。人によっては自分の身に降りかかってきやすい病気を知るきっかけになるかもしれない。

 ちなみに各年代のパートには「老化の加速がはじまる年代」(40歳代)、「三大疾病のリスクが高まる年代」(50代)という副題が付いているのだが、潔かったのが80歳代。その副題は「頼りになるのは体力」である。この年代になると細かな予防、治療うんぬんの前に、体力がないと健康寿命の維持はできないのだ、と妙に身につまされた。貪欲に80歳代を迎えたとき、ある程度、元気に生活を営みたいのであれば、今から運動習慣や、筋力維持のトレーニングなどで備えておいて損はない。

 本書には、そのための運動メニューも抜かりなくまとめられている。しかも、ジムなどに通う時間がない人へ向けたスキマ時間やオフィスでもできる運動メニューである。一通り読めば、そういった運動をすることが、いかに大切か痛感できるはず。淡々とまとめられ、羅列された病気群には、言葉は悪いが一種、脅迫的な効果もある(笑)。病気を知るとともに、気になりつつも始めるきっかけがなかった健康対策の起爆剤にもなってくれる一冊だ。

文=田澤健一郎

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