仮想通貨の危うい世界を見事に描写! 100万ビットコインを巡り争うITサスペンスマンガ

マンガ・アニメ

2020/5/11

『ジェネシスコード』①巻(漫画:えりちん 原作:鷹野浪流/白泉社)

 新時代の通貨として持て囃される一方で、多額の流出・盗難事件が複数回発生と、「怪しいもの」「怖いもの」というイメージも強い仮想通貨。最近は仮想通貨を題材にしたセミナーでも詐欺被害が出てきており、仮想通貨はこの世界の“未来”だけでなく“闇”をも映す存在になっているといえるだろう。

『ジェネシスコード』①巻(漫画:えりちん 原作:鷹野浪流/白泉社)は、そんな仮想通貨を題材にしたマンガ作品だ。原作者の鷹野浪流は、実際に仮想通貨投資を行った経験があるようで、仮想通貨に関わる描写もかなりリアルだ。

 物語の主人公は、若き凄腕ハッカーの大神ヒロ。彼はビットコインの謎を巡り、生死をかけた過酷な「ゲーム」に巻き込まれていくが、その中ではビットコインの生みの親と言われる謎の天才技術者、サトシ・ナカモトをモデルとした「タカシヤマモト」なる人物も登場。IT業界で詐欺を行う“半グレ”の人物も現れる。

 100万ビットコイン(1兆円)を巡る命を懸けたゲーム……という本作のあらすじを聞くと、荒唐無稽な話に感じる人もいるかもしれない。しかし、その物語の一定部分が現実を下敷きにしている点に、この『ジェネシスコード』の面白さと今っぽさがあるのだ。

 そして主人公の大神ヒロは天才ハッカーゆえ、命を懸けたゲームでもITの知識と技術を駆使し、「そんな手があったのか!」という驚きの解決方法で事態を打開していく。漫画を担当するえりちんのタッチも、緊張感のあるストーリーに見合った精緻さで、読者を物語へとグイグイ引き込んでくれる。

 そして“カネ”と“悪”が題材の物語には定番の、ちょっとしたセクシーショットも本作には登場。大神ヒロと手を組むグラマラスな女性が、その魅力を駆使して窮地を脱する場面などには、スパイ映画のようなスリル感じた。ビットコインやブロックチェーンの知識がない読者も、ドキドキしながら先へ先へと読み進められる作品だ。

文=古澤誠一郎

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