コロナショックで拡散する「ウソ」をどう見抜く? ウソつきの特徴と見抜きかた教えます

暮らし

公開日:2020/5/24

『まんが 弁護士が教えるウソを見抜く方法』(深澤諭史/宝島社)

 新型コロナウイルス対策によるさまざまな自粛要請が経済に影響を与える中、給付金などを装った詐欺も横行しているという。震災などでも同様のことが起きており、社会が混乱しているときの、人々の不安な気持ちを狙った卑劣な輩は後を絶たないということだろう。対策はズバリ「ウソに騙されないようにする」しかないのだが、実際に多くの人が騙されているからタチが悪いのだ。それでも、知っておくべき「ウソを見抜く方法」はある。『まんが 弁護士が教えるウソを見抜く方法』(深澤諭史/宝島社)は、多くの「ウソ」と向き合ってきた弁護士がウソつきの特徴や、ウソの見抜きかたを分かりやすく教えてくれる。

 まず前提として、なぜ人はウソをつくのか。理由はそれぞれだろうが、本書の著者である弁護士の深澤諭史氏によれば、ウソをつくことで「得をしたい」とか「不利益を避けたい」からであるという。例えば詐欺が横行するのは、犯罪者が人を騙して「得をしたい」と考えるからだ。そしてウソがなくならないのは、基本的に「ウソを見破るのは難しい」ため。「UFOを見た」という言葉を信じるかどうかは別にして、ウソだと証明するのは非常に難しいことなのである。ではどうしようもないのかといえば、そうではない。少なくとも「騙されにくい人間」になることは可能だ。そのためには「ウソつきの特徴」を知り、「ウソを見破るテクニック」を身につける必要がある。

ウソつきの特徴とは

 本書によれば、詐欺やウソの手口は常にアップデートされており、確実な特徴は言いづらいとしながらも、それでもある程度のパターンは存在するという。

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 まず「詐欺師は権威を利用する」ということ。いわゆる「振り込め詐欺」で警察や金融機関を名乗るケースが多いのも、公的な権威を利用して相手を信じさせやすくするためだ。詐欺師はこの「権威づけ」が非常にうまく、用心深い人であっても簡単に騙されてしまうという。

 また「ウソつきは質問と答えが一致しない」というものもある。例えば不倫疑惑に対し「ラブホテルに行ったか?」という質問に、「あの辺りにはラブホテルしかなかった」など「はい」「いいえ」以外で答えるといった感じだ。ウソつきは疑われることを警戒するため、怪しく思われそうな質問には怖くて端的に答えられないのである。

プロが使うウソを見破るテクニック

 ある程度「ウソつきの特徴」を理解していれば、それに当てはまりそうなケースを警戒できるだろう。しかし実際にウソつきを前にしたとき、簡単に見破れそうな気がしないのも事実。ではプロの弁護士は、ウソつきを相手にどのような「見破りかた」をしているのだろうか。

 著者が指摘するのは「ウソは本題と違うところで発覚しがちである」ということ。例えば「遺言書」を偽造したという案件の場合、遺言書自体はバレないよう細心の注意を払って作成するが、そうすると他のことに気が回らなくなることが多いという。遺言書は封筒に入れて封緘したのだが、その封筒に印刷された郵便番号欄が当時のものなら5ケタであるはずが、新しい7ケタのものだったことからウソが発覚したのである。

 また自然にウソを見破るテクニックとして「怪しい事情にこちらから絶対に突っ込まない」ことがあるという。相手にこちらがウソに気づいていると悟られずに、気持ちよくしゃべらせる必要があるからだ。とにかく相手にさまざまな話をしゃべらせることで、ウソがあればそれが話の矛盾点として表れる。そういう部分を積み重ねてウソを見破るのだ。

ネットの「フェイクニュース」の見抜きかた

 また最近はネットの情報でも、いわゆる「フェイクニュース」が多い。本書では、なぜフェイクニュースが蔓延するかを「つまらない真実よりも、面白いウソのほうが世間に広まる」ためと分析している。ゆえにネットで広まっている「面白い話」は、何らかの「脚色」が加わっている可能性が高いというのだ。「震災でライオンが脱走した」というフェイクニュースも実際にあったが、そういう劇的な情報を目にしたら、まずは疑ってかかる必要があるだろう。

 また人間は、自分にとって「都合のいい情報」を信じやすい傾向がある。がんで苦しむ人が「がんに効く薬」という偽情報にあっさり騙されてしまうのはその典型だ。本書でも「自分にとって都合のいい情報が真実とは限らない」と指摘しており、しっかりとした裏づけがない情報は、軽々に信用すべきではないのである。

 新型コロナウイルスへの不安で社会が動揺している現在、人々はウソに騙されやすい状態といえるかもしれない。だからこそ、ウソつきの特徴を知り、その対策をすることは重要だろう。自分の身を守る者は、やはり自分自身なのである。

文=木谷誠