「テレワークが快適でやめたくない!」コロナ時代の新しい働き方を制する“3つの力”とは!?

ビジネス

公開日:2020/5/27

『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』(片桐あい/自由国民社)

 テレ=tele=「離れた所」と、ワーク=work=「働く」をあわせた造語の「テレワーク」。1970年代米国生まれの言葉で、日本でも一部の外資系企業では90年代から採用されていたようだが、今回の新型コロナウイルス感染症対策で、多くの企業、テレビ番組の制作現場までが導入し、一気にすそ野が広がった新しい働き方となった。

 先日、自身のレギュラー番組に「映像なし・音声のみ」で自宅からテレワーク出演していたタレントのマツコ・デラックスさんは、「ワタシ、もう(化粧も服装も気にしない)この働き方から戻れないかも。あまりにも快適過ぎ!」と語気を強めていたが、同感した人は多いだろう。

 一方で、行動の自由度が高すぎて、「なかなか仕事モードに入れず、タスクがこなせない」や、「オン・オフのメリハリがつけられず、ダラダラと仕事をしている」といった声も、多く聞こえてきそうである。

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 こうした仮称「ダラダラ症候群」、もちろん、野放しのままでいいわけはない。その理由はこうだ。

「テレワークができない人は、仕事ができない人だというレッテルを貼られる場合もあるからです」。

 こう、自著の『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』(自由国民社)で警鐘を鳴らすのは、90年代からテレワークを導入していたサン・マイクロシステムズ(現日本オラクル)勤務を経て、現在は会社経営者、産業カウンセラーとして活躍する片桐あい氏だ。

 本書は、「仕事ができない人」という不名誉なレッテルを回避したい、テレワークビギナーたちに向けた入門書であり、テレワークでも上司を納得させる成果があげられるようになるコーチング本ともいえる内容だ。

 では、テレワークで求められる力とはどういうものか。著者が挙げるのは、以下の「3つの力」だ。

1.セルフマネジメント力(高いメンタリティを維持する力・時間管理の力・目標管理する力がある)

2.マルチコミュニケーション力(相手がどんな人とでもどんなツールを使用してでも、報連相・プレゼンテーション・ファシリテーション・交渉ができる)

3.成果の見せる化力(自分の仕事の成果を公正にアピールすることができる)

 本書には、それぞれの力の高め方のアドバイスがあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。また本書がユニークなのは、上司の性格を9つのタイプに分類して紹介し、性格別の対応マニュアルも用意していることだ。

 例えば、「1時間ごとに業務報告書を出せ!」などと細かいことまで管理したがる「マイクロマネジメント」タイプの上司というのがいる。

 著者は、そう言われなかったとしても、1時間ぐらいの単位で行った作業内容をメモしておくことを勧めている。

 そのメリットは、すぐに日報が書けるだけでなく、自分の仕事のどこに無駄があったのか、計画のどこに無理があったのか、仕事に集中できない原因など、自分の仕事のやり方を見直すためのいい機会になるからだという。

 さらに、オンライン会議もスキルの見せ所のひとつとなる。リアル会議ではさほど気にならない「発言の重なり」もオンラインではNG行為。そのため著者は、決めておくべきルール項目や意見の発散・収束のさせ方などを提示しながら、ファシリテーション(司会進行)スキルの磨き方をアドバイスしている。

 他にも、テレワークのメリット・デメリットや、使いこなしたい各種ソフトの紹介、マネジメント担当者向けのアドバイスなど、多岐にわたる項目がわかりやすくガイドされた本書。

「今までの日本企業で求められてきたものが、アフターコロナで大きく変わる可能性がある」と示唆する著者は、これからの時代の波で生き残るためには、「テレワークでも仕事ができることが、ビジネスパーソンにとって大きな武器となる」とエールを送る。

「テレワークで成果が出せる人は、どんな環境の中でも仕事で成果が出せる人」という著者の一言には、「たしかに!」と納得するテレワーカーも多いだろう。

 そんな人になりたければ、本書がその格好のコーチ役を担ってくれるはずだ。

文=町田光