USJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」とは?

ビジネス

公開日:2020/6/11

『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父がわが子のために書きためた「働くことの本質」』(森岡毅/ダイヤモンド社)

 働くのは大変だ。人生の大半を労働に費やすならば、ストレスの少ない空間で、誇りとやりがいを感じながら、一定の収入を得ていたい。それを実現するには、やはり自分に向いている仕事を見つけることだろう。しかし残念ながら多くの人は「自分の向いていることがわからない」と嘆いて、ある程度妥協した職場で今日も働く。

『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父がわが子のために書きためた「働くことの本質」』(森岡毅/ダイヤモンド社)では、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)復活の立役者である森岡毅さんが、自身の子どもに向けた手紙のように、「働くことの本質」を伝える。

 わたし個人が本書を読み通して感じ取った「働くことの本質」とは、いかにして自分自身を深く理解し、自分に合った職種を的確に選び出し、会社に“駒”として扱われないだけの結果を叩きだし、自分の信念を曲げない働き方を続け、誇りに思える人生を歩むかだ。

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 そして本書では、これを実現するための手段と考え方が、森岡さんの魂ある叫びとして記されている。「働くことの本質」の詳しい概念は、森岡さんの激動の人生を追わなければ真に理解できないので、残念ながら本稿では割愛したい。

 それよりも多くの人の悩みである「自分に向いている仕事を見つけだす方法」に重点をおいてご紹介したい。就活する人や転職を希望する人はぜひ参考にしてほしい。

まずは自分の「理想状態」について考える

 自分に向いている仕事を見つけるためには、世の中にあふれる職業より、自分自身に目を向けてみよう。就活のときに行った自分のスキルを見極める「自己分析」も大事だが、それよりも自分がどんな状態になっていたらハッピーなのか「理想状態」についてじっくり考えてみるのだ。

 ある人は「自分を称える人に囲まれて暮らしたい」と答えるかもしれない。ならば誰かに賞賛される芸能人や社員を抱える経営者などが候補に挙がる。

 別の人は「誰かに頼られていたい」と答えるかもしれない。ならば主に助ける職業である消防士や弁護士、会社を救うという意味で税理士やコンサルタントも挙がるだろう。

自分にどの強みがあるのか見極める

 自分の「理想状態」からある程度職業をしぼりこんだら、次は自分の強みを探してみよう。森岡さんは「どの職業においても重要な基礎能力」を、本書で3つに分類した。そして自分がどれに当てはまるのか、見分け方を解説している。

 その方法とは、今までの人生で「好きだったこと」をできるだけたくさん書き出すことだ。ただし「好きなこと」は「動詞」に限られる。たとえば「学校のサッカーでチームを勝たせる作戦を考えることが好きだった」という具合。「サッカーが好き」や「運動が好き」という名詞ではなく、「○○することが好き」という動詞で考えてみよう。それを無数に書き出 した後は、自分がどれに当てはまるか以下に分類してみる。

・考える力や戦略性が強みになるTの人(Thinkingの人)
・伝える力や人と繋がる力が強みになるCの人(Communicationの人)
・変化を起こす力や人を動かす力が強みになるLの人(Leadershipの人)

 それぞれの詳しい分類方法は本書に譲るとして、自分の「理想状態」と「強み」が見えてくれば、両者の重なる職業が自分の向いている仕事だとわかる。

 先ほどの「自分を称える人に囲まれて暮らしたい」という人に、考える力の強みがあるならば、会社の経営を良くする製品やサービスを生み出す経営者はぴったりである。そのためには「会社の経営ノウハウ」を学べるビジネス環境を見つけて飛び込み、いち早く能力を身につけて起業すべきだ。

 同じく「自分を称える人に囲まれて暮らしたい」という人に、人と繋がる力の強みがあるならば、あらゆる人々の力を借りて事業を成功に導くプロデューサーがぴったりである。そのためにはプロデューサー職のある業界に飛び込むのがいいだろう。

キャリアの正解はたくさんある

 ここまで自分に向いている仕事の見つけ方をご紹介したが、本書よりあわせてこの考え方もご紹介したい。

君にとってのキャリアの正解はたくさんある

 私たちは常に「正しい選択」を見つけだそうと必死になる。だから就活や転職においてどの会社や業界を選ぶのか大変に迷うはずだ。しかしどの会社にも良い部分と悪い部分がある。不運にもブラック企業に入社してしまうかもしれない。

 けれども森岡さんの考え方では「自分に向いていない仕事以外はすべて正解」であり、万が一「不正解」を選んだとしても、別の会社や業界を選び直せばいいだけだそうだ。決定的な不正解とは「自分に向いていない仕事とわかっていながら、そこで働き続けること」だ。

 なによりこれからの時代において必要なのは「個人のスキル」。誰でもできてしまうマニュアル仕事に人生の大事な時間を注ぐのではなく、「誰にも負けない営業スキル」や「どんな客も心底満足する鮮やかな接客スキル」など、会社がどうなっても生きていける「職能」を身につけることに腐心しよう。

 そして最後にこの言葉をご紹介したい。

失敗しない人生そのものが、最悪の失敗ではないのか?

 私たちは不安を覚える生き物だ。今ある環境を捨てて、別の環境へ飛び込むリスクに怯える。だからできるだけ無難な選択をしがちだ。けれども行動しない限り、よほど運がよくなければ誇りに思える人生など送れない。

 これから就活する人、転職を考える人は、ぜひ本書を読んで「働くことの本質」にふれてほしい。そして自分に向いている仕事を見つけだしてほしい。

文=いのうえゆきひろ

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