ITツールを導入したら450万円…? 知らないと損する中小企業向け補助金

ビジネス

公開日:2020/7/10

『中小企業が本当に使える補助金ベスト100』(小泉昇/自由国民社)

 コロナ禍で、中小企業向けの補助金や給付金などに注目が集まっている。売り上げが落ちた企業が申請できる「持続化給付金」などが代表的だろう。今まさに窮地に立つ経営者にとっては渡りに船だが、一方でとにかくわかりづらいという悲鳴も聞こえてくる。実はこうした補助金や給付金などは、普段からさまざまなものが用意されている。だが、見つけにくさ、申請のむずかしさなどから十分に活用されているとは言い難いのが現状だ。

 本書『中小企業が本当に使える補助金ベスト100』(小泉昇/自由国民社)は、タイトルの通り、中小企業向けにおすすめの補助金をまとめた本。ネットで検索してもよくわからない補助金の詳細を、1件ごとに見開き2ページで解説している。補助額が大きいものや、採択率の高いものを中心に掲載。申請のポイントも書かれているから、実際に申請するときにも役に立つ。もしかすると、気づいていないお得な補助金が見つかるかもしれない。

ITツールの導入でもらえる「IT導入補助金」

 まずは、「IT導入補助金」を紹介する。年間の採択数は7000件以上、大人気の補助金といっていいだろう。生産性向上を目的としたITツールの導入に使える補助金だ。中小企業は、古いシステムを使い続け、生産性が思うように上がらないケースもある。補助金を活用すれば、積極的にこうしたツールの導入が行えるようになる。

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 申請の条件も、他とくらべてそれほどむずかしくないようだ。「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組み、申請することになる。ポイントは、導入によってどれだけ生産性が向上するのかだ。事業内容が、規定の伸び率以上の目標を持っていることが条件となる。

もっとも有名な補助金「ものづくり補助金」

 次は、「ものづくり補助金」。本書によれば、上限が1000万円以上でこれだけ採択されている補助金はないという。まさに、知らなければ損、な補助金だ。ものづくり補助金は、生産設備の導入に使えるのだが、「生産性が向上する」ことを示すだけでは不十分。重要なのは、革新的な技術やサービスの開発に貢献することだという。「業界初」「日本初」「世界初」など、世の中的に初めてであることが求められる。

 そうはいっても、年間9500件ほどの採択数がある。求められる技術レベルはそれほど高くなく、特定の分野に特化した革新でも対象となる。たとえば、本書の事例を見れば「日本初、アニメ2.5次元ミュージカル特化のブロマイド写真サービス」といったものも。「ウチの会社には関係ない」と諦めず、申請できるものがないか検討してみてほしい。

 本稿で紹介したのは、多くの補助金のうち、もっとも有名な2例に過ぎない。本書には100の補助金が掲載されており、その内容や申請条件はさまざまだ。ぜひ、本書を手に取り、自分の会社に合う補助金がないかどうかを調べてみてほしい。

 補助金は、便利だし、ありがたいものだ。しかし、補助金が自ら「これ、あなたのところで使えますよ」と宣伝にきてくれることはない。自分の手で情報をつかみ取ろう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7